熱論!Mリーグ【Tue】
村上淳、魚谷侑未、小林剛、
黒沢咲…4者の思惑
絡み合う一戦と『見る雀』
イベントの醍醐味について
文・東川亮【火曜担当ライター】2020年2月11日
「大和証券Mリーグ」レギュラーシーズンも残りわずか。
各チームのファン・サポーターの方々は選手のツモる牌、選択にハラハラドキドキし、フラットにMリーグを楽しんでいるという方も、チームや選手の選択を興味深く見られていると思う。
さて、みなさんはMリーグを「どこで」ご覧になっているだろうか。
基本的には自宅のPCやスマホ、TVなどで視聴しているとは思うが、最近ではMリーグが主催した「Mリーグプレミアムナイト」や公式のパブリックビューイングの他、各チーム主催の観戦イベントやファンが集まって行うイベントなども増えてきており、Mリーグの楽しみ方もさらに広がりを見せているように感じる。
筆者は今回、飯田橋のセット雀荘「麻雀ロン」で行われたMリーグ観戦イベントで試合を観戦した。イベントでゲスト解説を務めてくれたのは、安達瑠理華(最高位戦日本プロ麻雀協会)・今井しんご(RMU)両プロ。
今回は第一試合の様子と共に、こうしたイベントを通じて、大勢でMリーグを観戦する「見る雀」の楽しさも伝えていきたい。
第1回戦
南家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
西家:小林剛(U-NEXT Pirates)
今回のイベントは特定チームのファン同士が集まったものではないので、ある程度いろいろなチームのファンが入り交じっていた。
パイレーツのファン、雷電のファン、ドリブンズのファン、フェニックスのファン・・・。
当然、観戦中もいろいろな声が上がる。
東1局、4巡目で魚谷が待ちリーチをすれば、負けじと村上もカン待ちで追っかけリーチ。
最後は黒沢が魚谷への8000点の放銃となってしまうが、この攻防も大勢で見れば悲鳴や歓喜が入り乱れ、なんともカオスな空間になる。
また、フラットな立場でこの状況に居合わせるのも、非常に面白いと感じるところだ。
試合は進み、東3局2本場。
この局では、かなり印象的な場面が見られた。
先手を取ったのは村上、自風のを重ねてカン待ちでリーチに出る。
直後、黒沢は待ちでテンパイするも、リーチはせず。
現状はのみイーペーコーでアガれる形だが、手変わりを待ったか。
さらに親番の小林もテンパイ。
ここで小林は、槓子で持っていたを暗槓。
この判断について安達プロは「一発消しもあるが、自身の打点上昇、リンシャンツモでアガリのチャンスを増やす選択」と解説。
を切ればこの時点でのアガリはないが、カンをすればリンシャンのチャンスが得られ、ツモれば・リンシャン・赤で60符3翻、符ハネしての満貫となる。
カンドラを増やすことで村上の打点を引き上げてしまうリスクもあるが、それを承知で勝負をかけた格好だ。
さらに次巡、黒沢が小林のロン牌をと振り替えてリーチ!
タンヤオがついて打点が上がったこと、さらにドラが増えたことで、前巡と比べてリーチに見合う手になったという判断だろう。
前巡にリーチをしなかったことが、放銃を防ぐだけでなく強烈な押し返しへとつながった。
直後、黒沢のリーチの一発目で村上がひいた牌は。
ここで、麻雀においては非常に珍しい「リーチ後の少考」という場面が見られた。
まず、は自身が暗刻なのでカンができる。
しかし自身の待ちはカンと、決して強い待ちではない。
さらに、追っかけリーチをしてきたのは打点力に定評のある黒沢。
好形か高打点、あるいはその両方を兼ね備えていても全くおかしくない。
リーチ後にを暗槓してきた親の小林も参戦モードであり、その状況でさらにドラを増やすカンは、先ほどの小林のケースと比較してもあまりにリスキーだ。
またリンシャン牌でツモれればいいが、そうではない場合、危険牌であっても切らなければいけないという点も、小林のカンとは大きく違う。