「静と動」その先に待っている牌は誰のものか 勝又健志、いざ初陣へ【Mリーグ2022-23観戦記10/10】担当記者:徳岡明信

「静と動」、
その先に待っている
牌は誰のものか。
勝又健志、いざ初陣へ

文・徳岡明信【月曜担当ライター】2022年10月10日

軍師は遅れてやってくる。

他選手よりも一足遅くMリーグの初登板を迎えた勝又。
初戦迎え撃つ相手は暴君派、リッチ派、ベストバランス派と様々な戦法を駆使する猛者達。
しかし麻雀IQ220の緻密な戦法を駆使して、勝利の狼煙を上げに向かう。

さぁ軍師よ、今年もMリーグの戦場を知略縦横に駆け回ってくるがよい。

第1試合
東家:勝又建志  (EX風林火山)
南家:瀬戸熊直樹 (TEAM雷電)
西家:松本吉弘  (渋谷ABEMAS)
北家:村上淳   (赤坂ドリブンズ)

軍師の強気の姿勢

東2局

親番の瀬戸熊が早くも形の良いイーシャンテンだ。
ホンイツの渡りも見たくなるがドラが【3ピン】という事もあり、ピンズのリャンメンターツとは最後まで心中しそうだ。

松本もチャンタが見えるイーシャンテンとなる。
早い段階での【6ピン】のトイツ落としが入っていて、序盤ながら河は異様だ。

村上が松本の【6ピン】トイツ落としを睨みつけるかのように確認する傍ら、勝又は冷静に手牌を推理する。

程なくして松本はテンパイするが、引いてきたのは【4ピン】。不服も不服。
【1ピン】によるチャンタの手替わりはもちろんの事、【8マン】【9マン】の縦重なりでのシャンポン変化や【赤5ピン】引きと嬉しい変化が多いので、ここはダマテンの選択とした。

勝又もピンフのイーシャンテンとなるが、ここからテンパイまで【5ピン】を引っ張った。
後に試合後のインタビューでも語っていたが
ソーズの場況が良く、【5ソウ】【8ソウ】待ちが残れば高確率でアガリが見込める。その為には【5ピン】【9ソウ】の縦引きを逃すわけにはいかない。【5ピン】はドラの傍の牌で他家への危険度も高い牌だ。そのリスクを承知で勝又は手牌に残した。この強気の姿勢が吉と出るか、凶と出るか………。

この強気の姿勢の【5ピン】残しの結果は大凶となってしまった。

リーチ、一発、表ドラ、裏ドラ3
親の瀬戸熊に18000点のあまりにも痛すぎる放銃となった。

手牌を確認する顔に動揺や後悔の表情は一切感じ取れない。
この結果も十分に想定出来ていた。その上で残した【5ピン】だった。

「今年も全力で攻めていきますよ」
視聴者へ向けた意気込みのメッセージとも取れた勝又の放銃であった。

若武者のベストバランス

東2局1本場

早くも箱下寸前まで点棒を失ってしまった勝又。
しかしこんなものでは心は全く折れない。
高めタンヤオの ピンフ、ドラ1のリーチを打つ。

勝又はテンパイの前巡に

この形から【7ソウ】を切って形を固定せずに1枚切れの比較的安全な【中】をツモ切ったのだ。
【7ピン】【8ピン】【5ソウ】の縦引きで【6ソウ】【7ソウ】【7ソウ】【8ソウ】【8ソウ】イーペーコー形を生かせる。
ここでも勝又の強気な姿勢が垣間見えた。

このリーチを受けて松本が【4ピン】をチーしてテンパイを入れた。
場には2枚目の【4ピン】【7ピン】で、赤2枚を所持した勝負手のイーシャンテン、この手で3900点のテンパイは物足りなくも感じるが、ここはしっかりチーテンを入れて現物待ちの【4マン】【7マン】で交しにいく。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀戦術シリーズ 新刊情報/