”一牌の後先”
”牌のめぐりあわせ”
文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2021年10月15日
”一牌の後先”
”牌のめぐりあわせ”
麻雀をやっているものであれば誰しも感じたことがあろう。
あの時あれを引かなければ、あの牌が押せていれば…… その様子はまるで自動卓に潜む妖精か麻雀の神様かに弄ばれているかのようだ。
選手視点から見ただけでもそういった後悔は多々ある。
まして全員の手牌を追える放送対局では、まさに”神の視点”ならではの気づきがある。
今日の二戦目はまさに選手全員が牌に翻弄された一局となった。
【東1局】
起家の園田。この形から両面固定の打。
通常はより受けの広いほう、この手牌では三面張を固定するのが一般的だが、河を見るとピンズがかなり安い。ここはソウズを厚く持つ形とした。
しかしこれが裏目。最速聴牌を逃す形となってしまう。
盤石かと思われた一向聴が、蓋を開けてみればあのを捉える以外は聴牌がない形となってしまった。
【東2局1本場】
流局で迎えた東2局。
園田の先制リーチに、と押していた内川だったがここで手が止まる。
単純に巡目が進んで安牌が増えただけでなく、が四枚切れてしまって手牌の価値が相当薄くなってしまった。
このタイミングで降りを選択。この時止まったが……
ピタリ園田のマンガンの当たり牌。当たり牌を掴むタイミングによっては天と地の結果となっていただろう。
【東3局1本場】
この局も聴牌一番乗りは園田。ポン、チーでソウズのホンイツ聴牌。
これがこの時点で山に六枚。決着は目前かと思われた。
しかしここに瀬戸熊が切り込む。ソウズターツをすべて落としていく打。
この時視聴者の多くは
「山に六枚あるが使えなくなった瀬戸熊が受けに回らされるか、最悪放銃になってしまうかも……」
と思ったことだろう。
しかしこの山6が一切顔を出さないまま、瀬戸熊が聴牌で追いつく。
この待ち選択。は目に見えて2枚しかない。は見た目通りなら5枚。引き算打法なら一択だが……
瀬戸熊の選択は打! 明らかに安いマンズに狙いを定めた。出アガリ7700と12000の差もあっただろうか。
これが残酷な自動卓の妖精のいたずらか。
瀬戸熊の意思と呼応したかのようにが先に積まれていた。
恐ろしい牌のめぐりあわせ、この半荘はこんなものでは止まらない。
【東3局2本場】
ここまで静かな近藤にとんでもない鬼配牌が入る。どう転んでもハネマン以上の二向聴。
すぐにポンテン跳満の一向聴に。
ポン!ポン!ポン!
!?!?!!????