文・後藤哲冶【月曜担当ライター】2025年5月12日
竹内元太がMリーグ加入する前に「Mリーグで誰と戦いたいか」という問いに対して、1人挙げていた選手がいる。

渡辺太だ。
太と元太は、日頃から交流があり、ふざけ合い冗談も言えるような仲でありつつ、麻雀においては、切磋琢磨し、お互いをリスペクトしている仲。
そんな太と、竹内はMリーグの舞台で同卓したいと良く口にしていた。

今宵、その太と竹内が同卓する。
……だが既に、そんな個人的な感情を挟める時期ではなくなった。

Mリーグファイナル最終週の幕開け1回戦。
ドリブンズとフェニックスの差は……僅か4.1pt。
優勝争いの行方は全く分からず……そしてそれでも、今週末にどこかのチームがシャーレを掲げることになる。
前述したように、個人的な感情を挟める時期ではなくなった。
しかし2人にとってはそれで、良いのだろう。
2人は麻雀プロで、Mリーガー。
お互いが、チームのために。
必要なのは言葉ではなく、闘牌だ。

5月12日 第1試合
東家 渡辺太 (赤坂ドリブンズ)
南家 瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家 瀬戸熊直樹(TEAM雷電)
北家 竹内元太 (セガサミーフェニックス)
展開は、TEAM 雷電瀬戸熊が引っ張る形になった。

まずは東1局親番の太から強烈なダマテン8000を直撃。
が3枚切れ且つ仕掛けている太の現物だったことからダマテンを選択した形だ。

東2局で瑞原が3人テンパイを搔い潜ってラスト1枚のをツモアガリ。
こちらも大きい2600オールのアガリだ。

1本場も手がぶつかる。親番瑞原と太がテンパイを入れている所に、瀬戸熊が追い付いた。
待ちのリーチ。

これが一発で太の所に来てしまう。
自身も8000のリャンメンテンパイである以上、止まりようもない。

瀬戸熊が太から5200の直撃。
太はかなり苦しい立場に立たされた。
東4局

これまでひたすらオリに回されることが多かった竹内に、親番でチャンス手が入る。
躊躇なくドラの切り。このくらいの手牌であれば竹内でなくとも切る選手は多そうだ。

その元太の切ったドラを一瞥して、静かに手を作っていたのが太だった。
縦系の手役に狙いを絞り、仕掛けて高打点になるルートを探る。
等の数牌を切って、見事にこの
を重ねた。

竹内はこのを引いてきて
切りを選択。
解説の藤崎智プロは「圧倒的に広いのは切り」と言っていたが場に切れている牌を考慮すると実はそうでもない。
を切った際には7種18牌でテンパイ、
切りなら6種20牌でテンパイ。
確かに通常この類のイーシャンテンはいわゆる暗刻ヘッドレスに受けた方が広いことが多いが、今回はマンズが多面張で優秀。
最終形を考えても、落としが優秀と竹内は冷静に判断。
