セミファイナル。
瑞原明奈が断ち切った「糸」、
黒沢咲が火をつけた「線」。
文・渡邉浩史郎【木曜担当ライター】2025年4月10日

第1試合
東家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
「セミファイナルの呪い」
そう言われ続けたのはU-NEXT PIRATES所属……

瑞原だ。
レギュラーシーズンはMVP常連でありながらも、セミファイナルシリーズを通してはシーズンを跨いでの10戦連続逆連帯。控えめに言っても悪夢である。
チームもチームメイトもそんな「よくない偶然の連鎖」を気にも留めていないだろう。
それは瑞原の雀力やレギュラーシーズンの活躍を良くわかっているからである。
しかし本人はどうだろうか。チーム戦である以上、チームポイントを減らすことは何物にも耐えがたい苦痛のはずである。それが重みを増していくセミファイナルならなおさらだ。ある意味今期のセミファイナル一発目のこの試合こそが、自身の天王山であろう。
短期戦スプリント勝負のセミファイナル。ここで自分を出したから負けたなんて言わせない。
本人でしか断ち切れない「よくない偶然の連鎖」を終わらせに、船を漕ぎだした。

序盤から点棒は大きく動く。
【東2局】、瑞原の一気通貫完成の親リーチが先制攻撃となる。黒沢と滝沢からもマンガン確定の追っかけリーチが飛んでくるが、枚数の有利が結果に直結し、黒沢から12000の出和了りだ。

続く【東2局1本場】もカンが入ってからの親リーチでさらに突き放そうとするが……

ここは竹内が押し切って和了る。

次局も勝負手でリーチを放つが和了りにはならず。
やはりというか、楽勝ムードにはならない展開だ。

さらには【東4局】親の黒沢がこの形。

を払っての三面張2種が見事に決まり。4000オールで地上に復活。

南場に入ってみれば、東場が本当にあったのか、とでも言いたくなるような平たい点棒状況。

さらには黒沢と竹内がマンガンの加点。三着目で迎えたこのオーラス。

黒沢のリーチはわずか5巡目。役牌のアンカン付きで、和了られればトップ逆転は夢のまた夢。

しかしリーチを受けてから瑞原の手が伸びる。新ドラのを二連続で引き入れて、和了れば条件クリアの形から……

このを仕掛けて前に出る。
しかし次巡、持ってきたのは……

役がなくなるほうの。ここは
を切って聴牌の形を取る。
この場合、をチーして
を切るいわゆる喰い変えが禁止されているため、その復活の形は見込めない。しかし例えば4枚目の
をカンして嶺上で和了るといったウルトラCはまだ残されている。
そして……

無情にツモ切られる和了れないほうの。竹内が合わせたものをチーしてフリテン
の片アガリ聴牌に受け変える。

しかし黒沢が二度目の4000オールとなるをツモ和了って、12000の放銃スタートとは思えない点数まで駆け上がった。
