【徹底分析!】不可解なオーラス卓上で何が起こったのか 【Mリーグ2021観戦記12/14】担当記者:ZERO

そして問題の局面。↓

マンズの上を誰も切っていない。(→みんなが使っている)

ドラの【5ピン】を切ったらますます【5マン】【8マン】は出づらくなり、実質残り6巡のツモ専になる。

たろうや寿人はテンパイならリーチを打ってきそうだがそれも確定じゃないし、ポンされた次の無筋でオリることになる。

ダマテンが十分にある萩原にロンされるとラスまで落ちかねないし、ポンされるのも損。

上に列挙した「理」と近藤の「右脳」が【5ピン】を切らせなかったのだ。

相手をリスペクトする土壌が育っていたこともあるだろう。

こうして今までに何度近藤の神がかり的な「ビタ止め」を見てきただろうか。

今回は結果的に寿人がポンしたかも、というくらいで、たまたま誰もテンパイしていなかったが「止めた牌が当たりだった時だけ称賛され、違う時だけ弱気とされる文化」は仕方ないとはいえ、どうにかならないかと感じる。

ただ、私だったらラフに【5ピン】を切ってしまいそう。

やはり寿人やたろうは【5ピン】待ちだったら跳満確定でも倍ツモトップを目指してリーチを打ってきそうだし、萩原にポンされたらその時考える。

ロンは致命傷だが、止めたがゆえのトップ逃しも同じくらい痛い。

とはいえ、近藤の選択を否定するものではないし、麻雀ってそんなものだ。

あらゆる要素が絡み合っている上、個人の思考・経験・感覚があって選択している。

実績を残している近藤の選択は学ぶことのほうが多い。

神の視点から見ている我々は、全員ノーテンなのに唯一リャンメンテンパイしている打ち手がオリるのをみると、どうしても「弱気」に見えてしまう。

しかし、その場面だけ切り取ったり、結果論だけですぐに「弱気」「間違っている」と判断するのは良くない。

検証② たろうはなぜリーチを打たなかったのか

こうして近藤がオリ、【5マン】【8マン】も場に顔を出さないまま終盤に突入。
2人目のテンパイを入れたのはたろうだった。

リンシャンから【7ピン】をツモってきて、役無しとはいえカン【6マン】のテンパイ。
ツモ番はあと2回しかなく、着順アップのためにリーチするしかないように思うが…

たろうは考える。そして…

ヤミテンに構えた。
この選択にも「意味がわからない」との声が多かった。

全体牌譜を見てみよう。↓

まず最初に考えたのは「親の萩原を降ろしたくない」だったはずだ。
リーチを打つと萩原ノーテンでこの局で終わってしまう可能性が高まる。
なぜなら萩原は跳満を放銃すると2着から一転してラスになってしまうからだ。
トップが見えるとはいえ、よほどのテンパイでない限り危険牌は打ちづらい。

ましてや場に高いマンズのカンチャン待ちだ。2回のツモに【6マン】が眠っている可能性は5%もないだろう。それよりはツモれなかった95%の世界で次局につなげる可能性を高めたほうがいい。

テンパイノーテンで点差を縮めた方が3着率も高まりそうだ。

これがドラドラあれば、裏ドラ次第で跳満倍満になるのでリーチもあるけど、なんせリーのみだ。「萩原さん、鳴いてもいいっすよ」と静かに【4ピン】を縦に置くのも1つの手だろう。

これは私もダマにしそうだな… と思って見ていた。

前言撤回! やっぱり鉄でリーチでしょ!
と、こういう時にツモってしまう間の悪さ。
一発ツモなら13002600からで最低3着にはなっていた。

たろうはツモ宣言をせず、【6マン】をしまった。
そしてここでも仕掛けている近藤に現物であり、萩原に鳴かれそうな【6ピン】を切った。

検証③ 萩原はなぜツモ番をスキップしたか

たろうの目論見通り、その【6ピン】を萩原がチーしてくれた。

しかし、イーシャンテンからイーシャンテンへのチーだ。
テンパイ必須のオーラスで、ツモ番を減らして何をやっているのか、という声もあった。

これは先ほど説明したとおり…

【赤5ピン】での放銃は着ダウン濃厚となるからだ。【赤5ピン】だけは絶対切らないとすると、【6ピン】はチーの一手になる。

しかし萩原の仕掛けは実らず、テンパイすることができなかった。
こうしてアガリを競っている近藤・萩原、3着目の寿人もノーテン。
唯一ツモったたろうだけがテンパイ… という、世にも奇妙なオーラスとなった。

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