ノータイムトゥーダイ 希望を掴み取った黒沢咲、雷電が反撃の狼煙をあげる【Mリーグ2021観戦記12/14】担当記者:江嵜晋之介

ノータイムトゥーダイ
希望を掴み取った黒沢咲
雷電が反撃の狼煙をあげる

文・江嵜晋之介【火曜担当ライター】2021年12月14日

第2回戦
東家:黒沢咲(TEAM雷電)
南家:丸山奏子(赤坂ドリブンズ)
西家:近藤誠一(セガサミーフェニックス)
北家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)

「ツモ」

東2局1本場、リーチをかけた親の丸山の手が開かれる。

高目の【9マン】ツモで6,000オール。道中に様々な選択があったものの、見事最高形でのアガりを捕まえることに成功した。
1戦目悔しくもラスになってしまったたろうの仇をとりたい丸山。
序盤でリードを獲得し、個人3勝目獲得に大きく前進する。

そんな幸先のいいスタートを切った丸山に対して、厳しくなったのが黒沢。

チームのポイント状況は依然8位。ポイントをプラスできたと思ったら連続のラスが続くなど中々悪い循環から抜け出すことができず、気がつけばレギュラーシーズンも折り返し手前まできている。

1戦目の萩原は近藤との競り合いに敗れ2位。
前回9日の対局では1位・4位でプラスすることができたため、ここで黒沢が連帯すれば、2日連続でチームポイントをプラスすることができる。

そんな2回戦目、東1局の親番はテンパイが入らず流局となり、東2局では丸山が突き抜ける6,000オールが炸裂。こんなつらい光景を今シーズン何度見てきたことか。
今季続いている悪い循環を断ち切り、チームのサポーターに良い報告を持って帰りたいところだろう。

丸山のアガリ・流局が続き、次に点数が大きく動いたのは東2局5本場だった。早々に勝負を仕掛けたのは近藤。

3巡目、滝沢が切った1枚目の東をポン。
シャンテン数を下げる打【7ソウ】を選択する。

マンズのホンイツをあからさまに醸し出すことで、他家をやりにくくさせる作戦だ。ドラが白なため、他家は扱いが途端に難しくなる。
次巡、丸山が切った【3マン】をチー。

次巡、自分でポンしている【東】をツモり、手に残して打【發】。受け入れを狭めながらも他家へスピード感をアピールする。
そのアピールが実り、一番手形がよかった親番丸山は【1マン】【5マン】を切らず受けに回る。

ここまでは近藤の作戦通り。皆が手を回している間に、自分はじっくりと大物手を育てていく算段だ。

しかしここから近藤は強烈な押し返しを受けることになる。

同巡、平和のみのイーシャンテンになった滝沢が、ノータイムでドラの【白】切り!

【白】を切ったときの捨て牌がこちら。

近藤は【赤5マン】を晒しており、仮に【白】をトイツで持っている場合は、元々【4マン】【赤5マン】【東】【東】【白】【白】と持っていたことになる。
その場合、ホンイツを狙わなくとも役役ドラ3赤のハネマンまで狙うことができるため、無理にホンイツを狙う可能性が低く【白】は持っていても1枚と推測できる。
(手なりで進めていて偶然ホンイツになったケースの場合、【7ソウ】【9ソウ】【發】の切り順が真逆になるため今回は考えにくい)

とはいえ自身が千点のイーシャンテンで、万が一【白】をトイツで持たれていた場合は大事故につながる可能性だってある。
それを自分の読みを信じノータイムで切ったこの一打は称賛に値するだろう。

そしてこの滝沢の【白】切りによって、活路が見えたのが黒沢だった。

打点が見えない3シャンテンだった黒沢。本来であればマンズ・字牌は切らず降りるか七対子で粘るくらいしか狙えない手だが、滝沢が【2マン】【白】と通してくれたおかげで手がたちを崩すことなく進行することができる。

【6マン】【7マン】が切れないため打点こそ見えないものの、じわりじわりと手を整えていく。

そしてテンパイ一番乗りを果たしたのは近藤。

ドラの【白】を重ね跳満。白が2枚切られているためカン【8マン】待ちに受ける。テンパイ時点で【8マン】は山に2枚。

続いて2巡後にテンパイした滝沢がリーチ!

リーチ平和赤の【4マン】【7マン】待ち。
近藤の現物ではあるものの、自身の河の早い巡目に【6マン】が切られており、手詰まった他家の放銃が期待できると読んだ、意表をつくリーチ。
(たらればになるが、ドラの【白】をテンパイまで引っ張っていたら、近藤の役役ホンイツドラ3赤の倍満に放銃していたかもしれない)

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