次局、トップの座はすぐに危うくなった。
朝倉のリーチに対し、何を切るか。
ラス目の朝倉に放銃すると、喜ぶのは近藤と萩原であり、ここでの放銃は罪が大きい。
しかし現物はのみ。
村上は思考を巡らせる…
そして現物のを切った。
この時の思考を村上はこう語る。
「かなり迷いました。の暗槓の後に手出しされたまたぎのくらいは切るべきか。ここで切っても、どうせ次になりそう。」
「ただ… ラス目のリーチなのでできるなら放銃したくない。自分の手も役無しの愚形残りなので、一発目はを切りました。」
愚形2つのイーシャンテンは掛け算でアガリ率は低くなる。
まずは一発放銃を避けるルートをたどった村上に、さらなる試練が訪れる。
安全牌のないまま→と押した後にをツモ。
は通っているが、自分の手もイーシャンテンに戻ってきた。
再び村上は語る。
「他2人は受けているので、山に残っている牌は読みづらい。」
受けているということは、今後も安全牌が開拓されない可能性が高いということですね。
「そう、だから切ってオリた後、のちのち結局危険牌を切ることになりそう。」
たしかに。
「アサピンのリーチも河にターツ選択がなく、暗槓から手出し2つのリーチがそう都合よく好形であるわけでもないよね? という発想で、端っこくらいは押してみて、テンパイしたら押すくらいがバランスいいんじゃないかと思いました!」
ここでの放銃は痛恨だが、逆に言うとアガれば一気に抜け出せる。
安全牌が少ない中での押し引きの葛藤。村上は決意して…
を勝負。そして…
ツモでテンパイ!
はドラだが、こうなれば押す価値はある。
を勝負。ギリギリの綱渡りを経てのテンパイ。
8位・雷電も負けられないが、7位のドリブンズだってトップが欲しいのだ!
その後…
待ちになってリーチを打つも、この局は実らず流局。
いよいよフィナーレの時を迎える。
渾身の一太刀
南3局1本場。
先制した萩原。
まくった村上。
潜航する近藤。
朝倉を除く3人の争いとなったラス前に全てが決した。
まずは萩原が
三元牌を2つ鳴いてチャージ!
実際の手牌は…
こんなだが、をツモ切りしていることによって、大物手の予感がプンプン漂っている。
その仕掛けに屈せず、近藤が前に出てテンパイを入れる。↓
近藤「最悪、次にを持ってきて、大三元と言われても納得できる」
近藤誠一、覚悟のリーチが卓上を切り裂く。
振り返ると近藤はここまで、ジョーカーを切って朝倉を惑わせた局は流局し、アガったのは村上の勝負手を蹴った1600の一回きりである。
それ以外はずっと受けに周り、くるかどうかわからない勝負どころを信じ、耐えに耐えてこの局面を迎えたのだ。
そして今、勝負どころがきた。