予測不能のマルチエンディング・ゲーム そこに潜んだ魚谷侑未の最悪のシナリオ【須田良規のMリーグ2021セレクト11】

厳しいようだが、周囲がちょっと不思議に思うくらい一貫性もなく、
通常自然と思われる選択と違うので、今は本当に不調なのだと思う。

ただそれが、期せずしてこの局の運命を揺蕩わせる一因となっていた。

まず5巡目。

瀬戸熊はここでイッツー赤ドラのテンパイを早々に果たす。
園田と3600差、ここは【7マン】切りのテンパイを取るのではないか。
と思ったところで、瀬戸熊は【7ピン】切り。

マンズのチンイツに向かう。

もしかして、三倍満の直撃を魚谷から狙っているのか、と胸がはやった。

確かに24000なら十分足りる。
雷電は極端な無理をしてでも多数のトップが必須の状況だ。

しかし、メンチンなら他に5翻を作らねばならない。

【1マン】【2マン】【3マン】【4マン】【赤5マン】【6マン】【6マン】【6マン】【7マン】【7マン】【8マン】【9マン】【9ピン】 ドラ【4マン】

赤ドラとイッツーと──、ピンフか。しかしそれには4枚目の【6マン】を引く必要がある。
しかもそれだと【1マン】【4マン】【7マン】【5マン】【8マン】待ちで【5マン】【8マン】しかピンフにならず、フリテンにもなりやすい。

このときは下家の園田が【7ソウ横向き】【5ソウ】【6ソウ】のチーをしてソーズに寄せていたので、すぐ園田から【8ピン】が出た。

ここでまず普通はマンガンのアガリ。2着に上がるだけなら実際ここで終わっていた。
雷電の2着エンドはまずここにもあった。

しかし三倍満への道はまだ残っている。

8巡目、瀬戸熊は【6ソウ】を引く。

ところがこれが園田に打てず、【南】を切って絞ってしまう。

瀬戸熊は「テンパイしたら勝負するつもりだった」と述べているが、
【7ソウ】はすでに切っているし、そもそも自分は3着目でメンチンのイーシャンテンだ。
園田がどんな手かまるでわからないし、テンパイにもちょっと見えない。

実際園田の手はこんな感じだ。

むしろソーズは引っ張る方が余計に危険になってしまう。

そして次巡なんと【赤5ソウ】を引いてしまい──、

ソーズ両方は下ろせないと、【7マン】切りでフリテンテンパイを取った。

瀬戸熊を惑わせるツモ牌の妙もあったのだが、
それなら最初のテンパイのカン【8ピン】でアガれていただけに、この局の行く末が危ぶまれた。

とにかくここで三倍満直撃のルートは潰える。

そして11巡目に、突然瀬戸熊はフリテンのままリーチ。

これもちょっとわからなかった。
元々ツモハネの手で、確かに曲げると倍満で4000点の上乗せにはなるが、
園田との3600差を4600差にしてしまうと、園田は一人ノーテンでもよくなる。
これで園田は完全にオリに回った。

ただ【4ソウ】【7ソウ】は実際山には大量に残っており、フリテンとはいえここでも2着になる未来はあった。
しかしこれがことごとく脇に流れ、終局のときが近づく。

このままではドリブンズが2着をキープしてしまう。
そこで魚谷が、瀬戸熊に差し込みに回ったわけだ。

つまり瀬戸熊のリーチがあって魚谷の抜き打ちにより、冒頭の結果が生まれたのである。

さて。
では瀬戸熊が【6ソウ】【赤5ソウ】とツモ切っていたらどうなったか。

園田は当時は両方鳴けず、瀬戸熊は悠々メンチンを育てることができている。

11巡目には
【1マン】【2マン】【3マン】【4マン】【赤5マン】【6マン】【6マン】【6マン】【7マン】【7マン】【7マン】【8マン】【9マン】
となり、【3マン】【6マン】【7マン】待ちの倍満だ。

そして13巡目にはドラ【4マン】を引いてこうなる。
【1マン】【2マン】【3マン】【4マン】【4マン】【赤5マン】【6マン】【6マン】【6マン】【7マン】【7マン】【7マン】【8マン】【9マン】

さあどうする。

パッと見では【6マン】切りがわかりやすいかもしれない。
【1マン】【2マン】【3マン】【4マン】【4マン】【赤5マン】【6マン】【6マン】【7マン】【7マン】【7マン】【8マン】【9マン】
カン【5マン】イッツーイーペーコー、赤ドラドラで余裕の三倍満だ。

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