帰ってきたベルセルク KONAMI麻雀格闘倶楽部 高宮まりの左腕に輝けるは緋色の円盾【Mリーグ2021観戦記2/10】担当記者:ゆうせー

立体図で見ると、

この【5マン】は単騎にしか当たらないが、万が一に備えた格好だ。

さらに次局は、

配牌オリ! マンズとピンズの中張牌を並べて、徹底的にガードを固める手組だ。あわよくばホンイツ狙い、というのもあるが、重きを置いているのはもちろんここでも「受け」の面だ。

そして、

切った牌を茅森に鳴かれたら、

そこからは一枚も鳴かせない。もちろん他家の安全牌も数えきれないほどある。

高宮に対して今まで持っていた「ベルセルク」、狂戦士のイメージを一新する立ち回りだ。

新生高宮まりは、右手には今まで通りの鋭い剣を、そして左手には全方位に対する円盾をひっさげて帰ってきた。

この局は茅森の1100のオールのツモアガリ、さらに、

茅森が【東】赤ドラドラ、12600を瀬戸熊からアガったあとの、

南2局3本場、

高宮は持ってきた【2ソウ】をツモ切りとする。

【2ソウ】を残して6ブロックに構えると安全牌が持てない。

横の伸びに影響の少ない【2ソウ】のトイツを落としての5ブロック進行。これなら【發】を持ちながら進められるうえ、もちろんアガリも見込める。守備を意識した、いい一打だ。

この局は終盤に、

リーチをかけた松ヶ瀬から、二度受け部分の【3ソウ】をチー。打【7マン】でテンパイにとる。もし松ヶ瀬に放銃しても2着目茅森の親番が落ちるので悪くはないうえ、

【5ソウ】が4枚見えている【3ソウ】【6ソウ】は絶好の狙い目。瀬戸熊から1000は1900点の出アガリとなった。

南3局は、

役無しリャンメンをダマテンにして、【5ソウ】をツモアガリ。ここも堅い立ち回りだ。

南4局は、

下家の茅森が【7ソウ】を仕掛けた次の手番で、

高宮は即座にアシストにまわる! いち早く下家にアガってもらおうという考えだろう。

ただ、これは自身もイーシャンテンなので、「絞らないで進めて、自分のアガリと下家のアガリとで親を落としにいく」という方針がいいように思う。

このあと、2副露目を入れた茅森に対して、【3マン】を差しにいかないのか? という意見も見られた。

上家の親の松ケ瀬は【8マン】を押しているとはいえ全体的に河が薄く、また下家茅森の待ち候補はマンズの下が濃厚で、【3マン】はかなり差せそうな牌である。

ただ、【3マン】で打つとドラをまたぐ可能性があるので素点がかなり減ってしまう可能性がある。【赤5マン】も見えていないのでなおさらだ。

また、フェニックスはチームポイント的にも近くにいるので、出来ることなら高宮から茅森への放銃ではなく、茅森のツモか横移動で決着して欲しいところだ。

どちらがいいかは難しいと感じるが、ここまで点差が開いていたら「差さなかったからすぐまくられてしまった」ということはなかなかない。

松ヶ瀬や瀬戸熊がテンパイ必須の状況なので押してくる、ということも考慮すると、放銃による失点を避けて出来るだけの素点を守り、横移動やツモアガリでの終局を狙うという方がややいいかと思うがどうだろうか。

結局、この局は瀬戸熊の一人テンパイで流局。

終局直後に浮かべた安堵の表情が、私の心に残った。

半荘を通じて、新たな一面を見せた高宮がトップ。親番での加点が効いた茅森が2着。オーラスで執念のテンパイを入れた瀬戸熊が3着。松ヶ瀬は4着となり、MVP争いから一歩後退する形となった。

チームのため、という面もあるが、この守備的な打ち回しでトップがとれたのは高宮自身にとっても非常に。

チーム状況にかかわらず、いつでも今日のようなメリハリの効いたバランスで打つのがいいのではないだろうか。そう思うくらいこの日の高宮は素晴らしかった。少なくとも今シーズンで一番内容が濃かったように感じる。

そうすれば、

(…)

この忘れていたポーズを今度こそバッチリ決める日が、またすぐやってくるに違いない。

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