(からのノベタン)
などなど。上記以外で愚形テンパイも含めるとさらに色々なパターンが存在する。
そのため「複合系が否定されている場合、リーチ宣言牌の裏筋は当たりにくい」というのが正しい表現だろう。
「複合系が否定される」とは今回で言えばやが堀の視点から複数枚見えていて、亜樹が持っていない場合のことを指す。
それではもう一度捨て牌を見てみよう。
やは堀視点では1枚ずつしか見えていない。
さらにが4枚・が3枚見えておりピンズのブロックを亜樹が持っている可能性が低いことを考えると、必然的にソーズの複合系が組み込まれている可能性が高まっている。
否定どころか可能性は高まっているためとても切れる牌ではない。
か、1枚切れのか、それともか…。
長考の末、堀はを選択した。
しかしこのが亜樹の当たり牌だった。
リーチ平和赤ドラ裏の8,000点。
ラス目の亜樹へ放銃したことでラスに転落。MVP争いに加わりたい堀としては痛恨の選択となってしまった。
その後、親番での連荘に成功し2着まで浮上するもオーラス条件を満たしたテンパイを見事作り上げた多井に逆転を許し、3着で終局となった。
試合終了後、ツイッターのスペースで東4局2本場について言及していた堀。
…!?? 実況席では選択肢にも出ていない牌だ。
くどいようで申し訳ないが、もう一度捨て牌を見てみよう。
はと同様に2枚持っているので、1枚通ればほぼオリきることができる。ただ特に筋でも壁が見えているわけでもない。
堀はを選択する根拠として「手出しが関連するパターンがの方が多い」と発言していた。
スペースではこれ以上説明がなかったので、ここからはあくまでも想像になるが堀の思考を書きたいと思う。
先程説明したように、亜樹の手にピンズのブロックは無い可能性が高い。では他のブロックはどう構成されているだろうか?
・が4枚見えているためマンズで3ブロック作ることは困難。
そうなると「マンズ2ブロック・ソーズ2ブロック+雀頭」もしくは「マンズ1ブロック・ソーズ3ブロック+雀頭」の2パターンになる。
マンズが2ブロックある場合、が手牌にどう関連していたかを考えるとかなり形が限定される。
が4枚見えており・も3枚ずつ見えていることを考えると、下記の形で持っていた可能性が高い。
これがマンズ1ブロックの場合はが当たりになるパターンも考えられる。例えばを対子で持っており、下記のような手牌になっていた場合。
打で雀頭を固定してソーズが入ったテンパイ。
ただこの場合、堀がマンズの染め手を目指していたため2度受けのは引っ張らずもう少し早いタイミングで切られていたように思える。
また、のノベタン・の亜リャンメンも考えにくい。
ソーズで3ブロックあることになるので打としなければソーズの多面張になっており、ソーズ待ちにしていた可能性が高いからだ。
一見、筋でも壁でも無い牌であるため候補に上がりにくいだが、捨て牌の情報から丁寧にパターンを洗い出していけばその危険度が他の候補より低いことがわかる。
以上、稚拙ながら堀の思考を読み取ってみたわけだが、当然堀は試合中ここで書いた内容よりも多くのパターンを想定・消去しているだろう。
近頃対局後に検討配信を行うMリーガーが増えているが、堀もサクラナイツの公式YouTubeチャンネルにて不定期で検討配信を行なっている。
今回の対局について、3月2日19時からライブ配信を行うとのこと。
堀が各局面でどんな思考をしていたのか、毎回詳しく解説されとても参考になるコンテンツだ。
対局を見た人もそうで無い人も、是非視聴してみていただきたい。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke