これを受けて親番の新津が小考。
自分の手牌もタンピンドラ1のイーシャンテンなので、是が非でもドラ跨ぎのを切って井出のリーチに立ち向かいたい所ではあるものの…。井出は道中での対子落としをしているのでかなり基準が高そうな手に見える。
そういうリーチに1万点ほどリードしている自分が2シャンテンで攻め込むのはどうなのだろうか? と新津は考えている。
新津はを中抜きして降りるものかと思いきや、ここは
打! 完全勝負だ! マンガンの親かっぶりでも井出に逆転されるので、逆に自分の高い手で井出のリーチを蹴りにいって勝負を決めに行く。
そして新津は、
のピンフドラ1の聴牌を入れるもののこれをヤミテン! 自分で3枚も使っているこのが全然よくは見えない。
次巡、新津はを引いて長考。
画像 18
を切ればの聴牌に変更する事も可能。
新津はには感触が無いがこのには滅茶苦茶良い感触を持ったはずだ。井出のリーチに筋で1枚切れのを誰も合わせていない。
このは間違いなく山にいる! さらにの三面張! さえ井出のリーチに通せればまず間違いなく勝てそうだ。この待ちでなら勝負をする価値がある。
なので
を切って待ちのリーチを打ったものの、このが
井出のロン牌。井出が新津からリーチのみの1900点をアガる。新津としては井出の打点が安くてホッとしたか。
そして井出は南3局の親番で新津を逆転することが出来ず、オーラスを迎えてしまう。
南4局 親・灘 ドラ
新津が字自風のをポン!
早くもドラのを離してアガリを目指しにいく。上家でトップ目の前原からのアシストも期待できるから相当新津が有利かと思いきや、ここで井出が聴牌をしてリーチ宣言!
リーチタンヤオピンフの待ち! ツモれば文句なしに新津を逆転することが可能だ。
そして…。
井出は見事にをツモって新津を逆転し、前原と共に決勝へと勝ち進む事に成功した。
負けた新津は勝っている状況なのにも関わらず、押し返す姿勢は見事なものだったし、灘にしても85歳になった今になっても素晴らしい麻雀を我々に見せてくれた。
来年は86歳になる灘。はたして来年も出てくれるのか…? そんな事も想像しつつ、激戦必須な決勝戦もこれから楽しみたい所だ。
小説家に憧れる中で、競技麻雀に惚れ込んだ二十代。視聴者と一緒の視点に立ってわかりやすい記事を書いていきたい新人ライター。