麻雀最強戦2019
ファイナル
ファイナル全局見せます!
まさに「最強」にふさわしい
鈴木大介の半荘
【決勝卓】担当記者:ZERO 2019年12月14日(土)
この日がやってくると、もう今年も終わりなんだなと実感する。
最強戦ファイナル。
2月から始まった予選によりファイナル進出者が1人また1人と決まる度に熱を帯び、各団体の主要タイトル戦が終わる頃に16人が出揃ったわけだ。
A卓で惜しくも敗れた、アマチュア代表の小島レボリューションのインタビューが非常に印象に残っている。
小島は声を振り絞るようにして言った。
「長い夢をずっと見ているようで、そこから覚めたんですけど…それは楽しい楽しい夢でした」
私もアマチュアながら参加させていただき、あの場所でインタビューを受けたので、小島の言葉にとても共感できる。普段、本や配信でしか見ることのないトッププロたちと、こんな輝かしい場所で本気の麻雀が打てるのだ。これまで、日陰を歩いてきたような自分にとって、あれが夢じゃなかったらなんなのだろう。
そして、それはアマチュアだけでなく、プロも同じだ。
「ここで勝てば人生が変わる」
これは誇張ではない。最強位になればその実力が認められ、その名が知れ渡り、そしてチャンスは無限大に広がる。歴代の最強位たちも、その後に活動の幅を広げ、そして時代の寵児になっているのだ。
トップ限定の一発勝負である最強戦は「運ゲー」と言われがちなのだが、勝ち上がっていく人たちの名前を見ると、勝つべく人が勝っているようにしかみえない。
究極のところ、麻雀の勝者を決めるには1半荘で十分なのではないか…そう思わせる何かが最強戦にはある。
さて、未だに夢から覚めていない4人を紹介しながら、ファイナルの戦いを見ていこう。
東1局
まず南家の鈴木大介が先制リーチを打つ。
リーチピンフのみだが、赤なし麻雀では裏や一発での13002600でも十分な加点となる。
著名人代表・鈴木大介プロ。
プロはプロでも将棋のプロだ。こう言っちゃあれだが、プロ棋士はもう頭の作りが人と違う。プロ棋士は年間4人しか誕生しない。全国から集まった天才少年少女同士で競争し、その中で生き残ったごくごく一部の人にしかなれないのがプロ棋士なのだ。鈴木はその中でも最高段位の九段である。類まれなる才能と途方も無い努力…なんというか表現のしようがないのだが、とにかくとてつもない場所にいる人であることは間違いない。
その将棋の天才が麻雀を打ったらどうなるか…?鈴木の活躍は多くの麻雀ファン、そして将棋ファンも注目の的だった。
その鈴木のリーチに真っ向から向かっていったのが堀慎吾だった。
鈴木のリーチにと連続でプッシュ!
ドラドラとは言え、かなり前がかりになっている。
雀王・堀慎吾。
「異常に強いメンバーが居る」
鈴木たろうの働いていた店でそのような噂になり、日本プロ麻雀協会に入るや否や頭角を表し、今年雀王に輝いた。その読みの深さには定評がある。
押したにロンの声がかかり、2000点のアガリ。
堀としては、親に連チャンされるよりかは放銃した方がマシ、という考えがあったように思う。自分がドラドラならマンガンと言われるケースも少ないし、仮にマンガンと言われてもラス親の堀としては縦長の展開は好都合、と捉えることもできる。
やや行き過ぎ、と思える押しにも、堀には必ずなんらかの計算があるのだ。
なお、親は
こんな手牌。好形の2シャンテンだ。
さぁ勝負!っと思ったところに簡単に横移動してモヤっとしたのではないか。
東2局
アガって親番を迎えた鈴木が連続の王手!(リーチ)
その王手を受けた近藤の手牌。
テンパイが入った。が、よく見ると3巡前のをスルーしている。
チーして2000点の愚形テンパイでは強く押しきれない。しかしメンゼンでテンパイしたのであれば…
リーチ!
Mリーグでおなじみのモーションが画面上に映し出される。
近藤誠一。昨年は切れ味鋭い踏み込みで最強位となった男が、今年もファイナリストに名を連ねた。彼の異名の1つである「連覇野郎」というフレーズを思い出さずにはいられない。
このリーチ合戦は、最後のツモ番で決着した。