そこへ、仕掛けを入れている逢川が、無筋の、をスッと被せてきた。
逢川だって、放銃すれば即敗退である。そんなことは分かっている。けれど、負けられない想いはみんな一緒なのだ。願いの強さで牌山の並びは変えられなくても、意思を持ってテンパイを取り続けることはできる。
藤川の意地と、逢川の胆力と。どちらが勝っても、おかしくはなかった。
果たして、前に出るしかない魚谷からが零れた。それは、最後までペン待ちで押し切った逢川に、軍配が上がった瞬間であった。
親連荘の無い僅か8局の勝負に濃密な内容をぎゅっと詰めたA卓は、内間・逢川の2人勝ち抜けで幕を閉じた。
麻雀最強戦2022。今年も、優勝者はたった一人である。その道中で、魚谷の矜持と、藤川の意地と、逢川の胆力と、そして内間の慎重な判断があったことを、ここに刻みたい。
元 日本プロ麻雀協会所属(2004年~2015年)。
会社に勤める傍ら、フリーの麻雀ライターとして数多くの観戦記やコラムを執筆。
Twitter:@ganbare_tetchin
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