伝説を継ぎ、
佐々木寿人は新たな伝説を築く
【決勝卓】担当記者:東川亮 2024年3月31日(日)
決勝卓
麻雀最強戦2024「伝説を継ぐ者」。
タイトルと出場メンバーを見れば、コンセプトは一目瞭然。佐々木寿人・滝沢和典という若手時代から麻雀界の第一線で活躍し続けている2人が、レジェンドたちに挑み、越えていけるかという企画である。


それを考えれば、少なくとも寿人・滝沢のどちらかが決勝へと勝ち進むことが、企画成功の最低条件だった。それが両名共に、となればなおのこと良し。


さらに、2人とも2位通過というのがいい。予選卓を1位で勝ち上がった沢崎誠・伊藤優孝を越えるという構図が明確になったからだ。

決勝卓は、寿人がその強さを存分に発揮する舞台となった。

開局早々、順調に手が伸びてピンフ三色確定のリーチをツモり、満貫の先制パンチ。

東2局1本場ではリーチツモピンフの1300は1400オールながら供託を回収、リードを広げていく。

この局は2シャンテンで1枚切れの東を引いたところで躊躇なくドラのをリリース。もちろん自分で使いたいところだが、引っ張り過ぎることが裏目になるケースもある。良い形が残っているなら無理なくアガリに向かうという、よどみのない攻めだった。

そして寿人らしさが出たのが東3局2本場。
この局は9巡目に役なしドラ1、カン待ちでテンパイする。ソーズが7連形でピンフや一気通貫も見える手だけに、外しも考えたいところ。

寿人は少考(といってもわずかな間だが)し、

そのままリーチに踏み切った。

判断理由は場の状況。河を見ると、滝沢と伊藤の2人が中張牌をバラ切りしていて、国士無双もよぎる。一気通貫に必要なのはだが、場に3枚見え、国士無双模様の2人も何枚か持っていると想定すると、最高形は望みにくい。
一方で、2人はおそらくを持っておらず、使うことも難しい。山に残っている可能性が高いという読みもあっただろう。

はメンツ手の沢崎の手にトイツで残り1枚だったが、こういう牌をツモれるときの寿人は強い。裏ドラも1枚乗せて2000-4000のアガリ。攻めるべき手でスパッと攻めてアガリをもぎ取る、寿人らしさが出た打ち回しだった。

そしてもうひとつ、寿人らしさが出たのが南1局。
沢崎のリーチが入った状況で、寿人は伊藤から出たをポン。トップ目で守りに入ってもいい状況だが、現物を消費して前に出る。

そしてをノータイムでプッシュ。沢崎のリーチには通っていない。沢崎は
ツモ切り
手出しからの
切りリーチだった。
・待ちが残っていたなら
の前に
を切りそう
・くっつきだと
から
ツモ切りは違和感
・シャンポンで当たるなら直前の形が、それなら
切りでリャンメンに受けそう
・からのカン
固定も変
みたいに考えれば理由はいろいろ出てくるのだが、それをノータイムでやっていくところが素晴らしい。理屈以上に、「ここは勝負すべき」という勝負師としての勘が働いたのかもしれない。

現状抜けたトップ目で子のリーチ、局が進むことを考えれば、見にまわる打ち手のほうが多そうな局面。だが、それではトップを取りきるのは難しいという肌感覚があるのだろう。打点こそ500-1000だが、ある意味で満貫以上にインパクトの大きいアガリだった。

寿人は最後も自力で手を仕上げ、決着。

これぞ佐々木寿人、という試合展開での完勝だった。

寿人に屈することになったレジェンド2人。だが、決して見せ場がなかった訳ではない。

東3局1本場、沢崎は滝沢のリーチに対して危険牌を打ちながらチートイツのテンパイにたどり着くと、一発とハイテイが重複する残り1巡でツモ切りリーチを敢行。ダマテンで安全に流局まで行こうという選択もあるなかで、トップ取りを目指す豪胆な一打を見せた。

後がないオーラスには3フーロからを大明槓、裸単騎からの・・・

加カンからの・・・
