魂は叫ぶものじゃない　多井隆晴の選択に　静かに宿っていたもの #麻雀最強戦2022 【 #男子プロ魂の一打 】観戦記【A卓】担当記者 #後藤哲冶

のツモ切りだった。の受けは無くなるが、それよりもドラを重ねたチートイツを逃す方が罪だと考えたか。
打点意識の高い一打と言えるだろう。

重ねた……！　静かなテンパイ。しかし強烈。
単騎のヤミテンは、９６００点。赤無しのルールでは十分決まり手となりうる打点。
これを堀は待っていた。ここまでにを持ってきているので、テンパイ自体は逃したことになる。
けれどそれよりも、一撃で決めうるこのテンパイを逃したくなかった。

勝負手に対する嗅覚。
堀の強さの一端が、垣間見れたのではなかろうか。

を持ってきて、堀が思考に入る。
が３枚見えていて、このは使いにくい。更に仕掛けて目立っている三浦の現物だ。
待ちとしては、絶好。山にもあると読んだかもしれない。

堀は静かにを切って、単騎へと待ちを変える。
その、直後。

これが、満貫のテンパイを入れていた三浦の手へ。
自身ですでに切っている。止まるわけがない。

９６００。そう告げられた三浦が、静かに点箱へ手を伸ばす。

表情に、変化はない。少なくともこちらからはそう見える。
だが、このアガリは打点以上に三浦の精神にダメージを与えたかもしれない。

このアガリで、堀は勢いに乗った。

東４局１本場は、リーチ対決になった三浦と堀の２人テンパイで流局。

そして、東４局２本場。
リーチ棒も２本供託され、アガリの価値が大きいこのシーンで。

強烈な６０００オールが決まった。
三浦のリーチもかいくぐって、得意の染め手をこの場面で決めてきた。

この６０００オールで、２人抜けの内１つの席は半分決まったようなもの。
残るは１席。南場全体をかけて、これを３人で奪い合うことになった。

東４局３本場
高い手に向かった三浦、内川が遅く、多井も手があまり整ってなかったことから控えめに手を進め、巡目がどんどん深くなっていく。

ドラを引き入れた多井。
これでテンパイだが待ちは単騎になってしまう。一旦を切って、多井は単騎に構えた。

次巡、を持ってきた。
ピンズも悪くない。だが待ちにするにはこの形は余りにも心許ない。
これは単騎を継続して、ツモった時だけアガることになるか……。

そう思ったその瞬間。

多井の選択は手からを切ってのリーチ。
が良いと思ったこと、自身の捨て牌がが当たるようにはとても見えないこと。
最終手出しが以外にできたこと。色々な理由が多井をリーチに踏み切らせた。

そしてこのがなんと……３山。つまりは多井の手にあるこの１枚以外全てが山に残っているということ。
恐ろしい。こんなことがあっていいのだろうか？
最速最強、麻雀星人。様々な異名を持つ多井が、その真価を見せる。

ツモり上げた。裏ドラこそないものの１０００、２０００のアガり。
このアガリに辿り着ける打ち手が、一体全国に何人いるのだろうか。

南１局
決勝進出のために逃せない親番である三浦だが、手牌がかみ合わない。
多井と内川に先制され、やむなく退散。

まだ、終わってない。点差を考えれば、ここで無理をして放銃するよりも、残りの局に賭けた方が良い。
それが三浦の下した判断だった。

多井、内川の２人テンパイで流局。
まだ、２つ目の席は決まっていない。