「ロン」
頼む…!
「3900は4200」
ロンでも3900までならオッケーだ。
を自分が持っていて、役牌が全部見えているのでイッツーがつかなければ3900止まりだというのはわかっていた。
これにてトップ目でオーラスを迎えられる。
これでいい。これが最善だ。これで合っているはず。
エピローグ
嵐は過ぎ去った…ような気がした。
ホッとした時点で、僕はもう負けていたのかもしれない。
渋川は魚谷に放銃した瞬間、安堵の表情を浮かべていた。
寿人さんの猛攻を凌いだ。あとはオーラスをやり過ごすだけだ。
流局を挟んだ南4局1本場。
やはりあなたは強大な壁だった。
寿人の3900は4200のアガリで決着。
渋川はギリギリで差され、2着に甘んじることになった。
オーラス祈ることしかできなかった自分が悪い。悔しい。とインタビューで語った渋川。
あの4000オールが6000オールだったら…あそこでテンパイが取れていたら…
たらればだが、そう思わずにはいられない。
今夜も眠れない夜をすごすことになりそうだ。
だが、渋川が求めていたのはこの世界だ。
注目を浴び、相手は強く、一打のミスも許されないヒリついたMリーグという世界。
まだ先は長い。
この悔しさを胸に刻み、必ずやこの世界で憧れのあの人にリベンジをしよう。
こうして新加入選手の初勝利はまたしてもキャリーオーバーしたのだった。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」