「骨は拾ってやるから」瀬戸熊の激励を胸に 本田朋広が無人の荒野を歩きだす【Mリーグ2022-23観戦記10/18】担当記者:ZERO / 沖中祐也

こうして本田は

見事回りきってテンパイにたどり着いた。
結果は

魚谷のツモアガリとなった。
どう打っても同じ結果だったが、道程が全く違う。

どうして、この男はここまでふっきれることができたのか――
「骨は拾ってやる」

前回、ラスを引いた直後に瀬戸熊から掛けられた言葉。

「同じラスだったけど、ちゃんと攻めていた。」
「序盤は結果が伴わなくてもいいから、内容にこだわってほしい」
「そうすれば、必ず勝てる日が、くる」

先輩にここまで言われたら、こたえるしかない。
nothing to lose
そうさ、俺たちにはもう失うものなんてないじゃないか。

南2局1本場、親番を迎えた本田は

ここから安全牌候補の【東】を切ってブクブクに構えた。
もう、周りの目を気にしながら戸惑っていた昨年までの姿はそこにない。

丸山のリーチ後の【赤5ピン】をポンした後に【2ソウ】をツモり、タンヤオ・赤・ドラの2000は2100オール。
あそこで【4ソウ】を残していなかったら実らなかったアガリだ。

本田の打っている姿が、背筋が伸びていて美しい。
まさしく瀬戸熊を彷彿とさせるようだ。

中押しに成功した2本場でも

ここからまた字牌の【中】を切った。
つい【1マン】を切ってしまいそうだが、【1マン】イッツーのタネだ。

この【1マン】残しが功を奏し…

リーチ・赤の3900は4500! ダメ押しとなった。

以降は熾烈な2着争いを横目に危なげなく逃げ切り。

インタビューでも
「瀬戸熊さんの気持ちがとても伝わってきて…」
と強調して語る。

踏み込んでもぎとった1勝は、ただの1勝じゃない。
この舞台で十分に戦える、今年はやれるぞ、という手応えのある1勝。

こんなもんじゃすまさない。
辛酸を舐め尽くした雷電の逆襲が始まる。

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