こうして本田は
見事回りきってテンパイにたどり着いた。
結果は
魚谷のツモアガリとなった。
どう打っても同じ結果だったが、道程が全く違う。
どうして、この男はここまでふっきれることができたのか――
「骨は拾ってやる」
前回、ラスを引いた直後に瀬戸熊から掛けられた言葉。
「同じラスだったけど、ちゃんと攻めていた。」
「序盤は結果が伴わなくてもいいから、内容にこだわってほしい」
「そうすれば、必ず勝てる日が、くる」
先輩にここまで言われたら、こたえるしかない。
nothing to lose
そうさ、俺たちにはもう失うものなんてないじゃないか。
南2局1本場、親番を迎えた本田は
ここから安全牌候補のを切ってブクブクに構えた。
もう、周りの目を気にしながら戸惑っていた昨年までの姿はそこにない。
丸山のリーチ後のをポンした後にをツモり、タンヤオ・赤・ドラの2000は2100オール。
あそこでを残していなかったら実らなかったアガリだ。
本田の打っている姿が、背筋が伸びていて美しい。
まさしく瀬戸熊を彷彿とさせるようだ。
中押しに成功した2本場でも
ここからまた字牌のを切った。
ついを切ってしまいそうだが、はイッツーのタネだ。
この残しが功を奏し…
リーチ・赤の3900は4500! ダメ押しとなった。
以降は熾烈な2着争いを横目に危なげなく逃げ切り。
インタビューでも
「瀬戸熊さんの気持ちがとても伝わってきて…」
と強調して語る。
踏み込んでもぎとった1勝は、ただの1勝じゃない。
この舞台で十分に戦える、今年はやれるぞ、という手応えのある1勝。
こんなもんじゃすまさない。
辛酸を舐め尽くした雷電の逆襲が始まる。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」