オーラス、鈴木優が仕掛けた罠 “戦闘民族”その強かな牙は Mリーグの頂点に届き得るか【Mリーグ2022-23観戦記10/27】担当記者:後藤哲冶

黒沢から出た【5ピン】を456でチーした後、10巡目に【2マン】を引き入れてテンパイ。
待ちはカン【4ソウ】に構えた。自身で【1ソウ】【7ソウ】を切っているため、中筋の牌。

同巡、優が追い付いてまたしても優と多井がぶつかる。
絶好のドラを引き入れて、元々照準を合わせていたペン【7ピン】でリーチ!
自分で【6ピン】を3枚使っており、相手が使いにくく、更には河に並んだ【4ピン】【赤5ピン】が光っている。
あまり当たりそうには見えないだろう。

狙いの【7ピン】は、山に3枚。

これを多井から捉えた。
多井としても自身が最後の親番でテンパイしているだけに、この【7ピン】は止まらない。
裏を1枚乗せて5200のアガリは大きな加点。

続く南2局。この局が、最終結果に大きな影響をもたらす局になった。

親番を迎えた優の手牌。
ダブルドラとなる【赤5ソウ】が手の内にあるが、それ以外の形が重い。
対子の牌が端牌で少し鳴きやすいので、【白】を仕掛けていく選択肢はもちろんあるが、どちらにせよ【赤5ソウ】は使う前提になりそうだ。

トップ目の亜樹の手形が良い。
既にリャンシャンテンのタンヤオ
ドラが使えずともある程度の打点にはなりそうだ。

4巡目の優の手牌。
【赤5ピン】は嬉しいが、やはり孤立の【赤5ソウ】をどうにかして使いたい。
4対子もあってチートイツも見ると【2マン】【4マン】のターツに手がかかりそうだが。

優の選択は【9ピン】切り。
ピンズを3ブロックで使うことは無いので、【7ピン】【9ピン】の比較。
【9ピン】は1枚切れていてポン材としてあまり優秀ではないこと、後の形の変化も【9ピン】切りが有利と見て、ここは打【9ピン】

同巡、亜樹の手も進む。
これでイーシャンテン。ドラが出ていくケースは多くなったが、それでもメンタンピン高目イーペーコーの十分形。
【2ソウ】を切って、【6ソウ】を引いた時にまた選択ができるようにするかと思われたが。

ここはドラの【5ソウ】切り。
これは非常に亜樹らしい一打と言えるだろう。
【5ソウ】を引っ張って自分の手で使うパターンよりも、一巡でも早く先にこのドラを打って、相手に重ねられたり、テンパイを入れられる前に切りたいという守備意識。

優の手に、待望の【4ソウ】
【赤5ソウ】を使えるようになった。これで【白】のポンから発進しやすい。
鳴いても、12000点のテンパイに辿りつける。

絶好のタイミングで、黒沢から【白】が出る。
【1ソウ】の対子落としを完了させて、これでイーシャンテン。

しかし先制は亜樹。
【8ピン】を引き入れて、高目イーペーコーメンタンピンリーチ。
優の仕掛けは、【1ソウ】の対子落としが目に見えており、染め手に向かったようにも見えないので速度感はある。
だがそれでもこのメンタンピンをリーチしないのは弱気が過ぎるというもの。
高目をツモっての満貫は、十分決まり手になる一手だ。

イーシャンテンの優が、無スジの【9マン】と場に出ていない中が浮いていて手が止まる。
どちらも通っていない牌だ。

しかし【9マン】から切り飛ばす。
戦闘民族の異名をとる優の脳内にこの手で後退の2文字は無い。
例えここでリーチに放銃して4着になるリスクが少し増えるとしても、この12000をアガりきってトップになる道を選ぶ。
それが優の麻雀。今年パイレーツに加入した、新たなる風。

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