それは天からの贈り物ではなくABEMASの意思である 日向藍子、伝説の12000オール【Mリーグ2022-23観戦記11/1】担当記者:ZERO / 沖中祐也

唇を噛み締めながら、押していく。

親の猛烈なプッシュに気が気でない内川の表情。

もう此処には良いも悪いも無い
正解も不正解も無い
ただひたすらに 心は揺るぎはしない

そしてついにその時はきた。

「リーチ」

「カン」

ABEMASはセミファイナル・ファイナルで苦戦を続け、4年連続3位で終えた。
つまり4年連続で辛酸を舐めてきたのだ。

もう二度とあんな思いはしたくない。
今季は突き抜けようじゃないか。

レギュラーで1000勝って、
セミファイナルで200勝って、
ファイナルで100勝つ。

その背中すら拝ませない。

立ちはだかる物を 木っ端みじん

それは天からの贈り物のようであり、ABEMASの意思のようにも見えた。

「ツモ」

「12000オール」
(リーチ・ツモ・リンシャン・ドラ4・裏5)

(手応えとは)

(打たなくて良かった~)

(こういうの、大体ドリブンズが被害に合ってない?)

焼け野原になった卓上では、激しい2~4着争いが繰り広げられることになる。

村上淳の斬り込み

リーチ攻勢をかけ続ける内川(下家)に対し

イーシャンテンとなった村上。
村上は現物の【7ピン】ではなく、なんと両無筋の【4ソウ】を切ったのだ!

これは、極限堂の手筋!!

(ミリオンシャンテンさだめだ!! 片山まさゆき 竹書房 より)

牌図を見ながら説明しよう。

内川(下家)の3巡目リーチに対し、日向(対面)が【2ソウ】【7ピン】と明らかに押している。
そこで日向から追っかけリーチがくる前に【4ソウ】を勝負しておいて、安全な【7ピン】を後から切ろうという算段だ。

この手筋は、放銃率アップと引き換えにアガリ率も少しだけアップするという、どうしてもアガリたい手牌のときに使う選択。

本気は痛みを厭わない

村上の斬り込みも虚しく…

内川がアガリをかっさらっていく。

流局を挟んだ南1局、ここまで攻め続けた日向が一瞬のひるみをみせる。

瀬戸熊(下家)の切った【南】を鳴かずに打【7ソウ】、さらに次巡も【中】をツモって打【7ピン】とした。
おそらく日向は親・村上(対面)の【東】切りを見て警戒度を高め、チートイツに絞って守備を固めたのだと思う。
(自風(【東】)を切ったということは他の孤立字牌が無い=手が整っていると考えられるから。)

ただ【南】を鳴かない判断は理解できるのだが、打【7ソウ】チートイツに向かったのは疑問に思う。1つ2つ愚形が埋まるだけで十分かわし手になるし、【南】の後付で仕掛けていく選択肢も残したい。そもそも【7ソウ】【5ソウ】に危険度や重なる確率に差がない。(むしろ【5ソウ】の方が危険とも言える)

この隙を逃さず、内川がまたしてもリーチ攻勢。
親番の村上も…

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