唇を噛み締めながら、押していく。
親の猛烈なプッシュに気が気でない内川の表情。
もう此処には良いも悪いも無い
正解も不正解も無い
ただひたすらに 心は揺るぎはしない
そしてついにその時はきた。
ABEMASはセミファイナル・ファイナルで苦戦を続け、4年連続3位で終えた。
つまり4年連続で辛酸を舐めてきたのだ。
もう二度とあんな思いはしたくない。
今季は突き抜けようじゃないか。
レギュラーで1000勝って、
セミファイナルで200勝って、
ファイナルで100勝つ。
その背中すら拝ませない。
立ちはだかる物を 木っ端みじん
それは天からの贈り物のようであり、ABEMASの意思のようにも見えた。
「ツモ」
「12000オール」
(リーチ・ツモ・リンシャン・ドラ4・裏5)
(手応えとは)
(打たなくて良かった~)
(こういうの、大体ドリブンズが被害に合ってない?)
焼け野原になった卓上では、激しい2~4着争いが繰り広げられることになる。
村上淳の斬り込み
リーチ攻勢をかけ続ける内川(下家)に対し
イーシャンテンとなった村上。
村上は現物のではなく、なんと両無筋のを切ったのだ!
これは、極限堂の手筋!!
(ミリオンシャンテンさだめだ!! 片山まさゆき 竹書房 より)
牌図を見ながら説明しよう。
内川(下家)の3巡目リーチに対し、日向(対面)がと明らかに押している。
そこで日向から追っかけリーチがくる前にを勝負しておいて、安全なを後から切ろうという算段だ。
この手筋は、放銃率アップと引き換えにアガリ率も少しだけアップするという、どうしてもアガリたい手牌のときに使う選択。
本気は痛みを厭わない
村上の斬り込みも虚しく…
内川がアガリをかっさらっていく。
流局を挟んだ南1局、ここまで攻め続けた日向が一瞬のひるみをみせる。
瀬戸熊(下家)の切ったを鳴かずに打、さらに次巡もをツモって打とした。
おそらく日向は親・村上(対面)の切りを見て警戒度を高め、チートイツに絞って守備を固めたのだと思う。
(自風()を切ったということは他の孤立字牌が無い=手が整っていると考えられるから。)
ただを鳴かない判断は理解できるのだが、打でチートイツに向かったのは疑問に思う。1つ2つ愚形が埋まるだけで十分かわし手になるし、の後付で仕掛けていく選択肢も残したい。そもそもとに危険度や重なる確率に差がない。(むしろの方が危険とも言える)
この隙を逃さず、内川がまたしてもリーチ攻勢。
親番の村上も…