熱論!Mリーグ【Mon】
マムシ退治は滝沢、園田、
松本の三人掛かりで仕留めろ
“沢崎誠”包囲網
文・山﨑和也【月曜担当ライター】2019年11月25日
里見「編集長、先週藤井聡太七段が負けたからってずっと落ち込んでいるんですよ」
勝又「タイトル挑戦惜しかったねえ。ところで藤井七段に勝った棋士を知ってる?」
遠山「……広瀬章人竜王ですね。将棋界最高峰のタイトル、竜王を保持しています」
勝又「その広瀬竜王、実は麻雀もかなりの腕だそうだ。なんでもある棋士が『将棋より才能がある』って認めていたくらいだからね」
里見「(……??最高峰のタイトルを持っているのに将棋より才能あるとは??)」

11月25日、1戦目を終えてのチームスコアである。サクラナイツ・沢崎誠が老獪な打ち回しでまたも勝った。詳しくは同日掲載のゆうせーさんの観戦記をご覧いただきたい。
今回は2戦目の模様をお送りする。そろそろサクラナイツの独走を阻止したい各チーム。初参戦ながら2位に200ポイント近く差をつけており、他チームの立場もつらいところだ。サクラナイツファンの方には申し訳ないが、自然と筆者もそっち寄りの目線になってしまう。申し訳ない。それだけ沢崎含むサクラナイツが強いのだ。今回はそんな沢崎に立ち向かった3人を中心に取り上げてみたい。
東1局。
沢崎の独走に待ったをかけるべく、いきなりリーチをかけたのは風林火山・滝沢和典。

わずか2巡目で待ちのリーチ。(1巡目の打
を沢崎がポンしている)情報があまりに少なく、滝沢の一人勝ちに思えた。滝沢自身も気分はアゲアゲだったに違いない。

注目の沢崎はこの手格好(打)。形はいいが、アガりまでは遠い。それに
が浮いている。

さらに滝沢の当たり牌をつかむ沢崎。全然通っていない打で粘った。だが、手が進めば出ていってしまいそうな
だ。

しかし親のアベマズ・松本吉弘から出たを鳴いて打
。当たり牌を手の内に収めつつ、なんとテンパイしてしまった。憎らしいほど強い。

ただ、次巡にを持ってきて手が止まった。これでそのままツモ切ったらエスパー級だったが、さすがに
は切れず、打
で放銃となった。リーチドラ赤で、開幕から5200の失点。

しかしその表情は後悔どころか、むしろ余裕があった。

お年玉をあげるおじちゃんのように穏やかな表情。これは自身の個人成績トップから生まれる余裕なのだろうか。このまま終わらぬ予感を感じさせた。
勝負の世界において、周りから強いと思われている人間は強い。いわゆる信用やブランドというものだ。振り込んだとはいえ、ただじゃ起きないだろうと。そう思わせるほど今の沢崎は強い。時折、理論を超越した打ち回しを見せることがあり、開幕から二ヶ月がたった今でも掴みどころがないように見える。

東2局。親の沢崎にドラふたつと赤が入る。

中盤に入り、好形のイーシャンテンが残る形になっている。解説の土田浩翔プロも「あーあーあー」。ここでツモった1を残し、打。直前に
を切っており、いわゆる両面外しを見せた格好だ。他家は「そのターツよりもいい待ちがあるの?」と警戒せざるを得ない。

それに鳴きで距離を詰めていったのがドリブンズ・園田賢。本日は誕生日とのこと。カン待ちのテンパイをとり、沢崎を追い抜いた。

終盤に入り、アベマズ・松本も三色の形が残るテンパイ。なら満貫なので楽しみがある。

だがすぐに沢崎も追いつき、の三面張待ちをひっそりとダマテン。
はドラ表示牌で絶好の入り目だった。筆者は思わず息を呑む。

結果はやはりというべきか、沢崎が制した。放銃したのは長い間テンパイだった園田。沢崎は5200点の放銃の後に12000点を加点し、微差ながらトップ目に浮上した。この一戦も沢崎が制すのか。そう思わざるを得なかった。
東3局3本場
ここ数戦、トップから離れマイナスに沈んでいた滝沢。いつしか1位のサクラナイツとの差がじわじわと広がっていった。特に沢崎がいるこの場では期するものがあっただろう。

789の三色が見える手。ドラの1を使えることができればチャンタになりそうだ。第一打にとして手を作っていく。

をポンし、
、
と落としていった。ただ、ペンチャンが2箇所残っているのとドラが浮いているのが気がかり。

巡目が進み、をチーできた。三色に向けて順調……と思いきや、ここで打
。解説の土田プロが「お~丁寧ですね」と声を上げた。三色に見切りをつけたわけだが、場に
が2枚見えていることが要因だろう。

そこに園田からの追い込みがかかった。一度裏目ったの筋を引き戻してのリーチ。ドラの
は山に1枚残っている。

そのドラは滝沢のところに舞い降りた。を切ってカン
のテンパイ。次に
を持ってくるのだが、それも構わずツモ切り。ここから微妙なアヤが絡むことに。

園田が前巡にを通した。これに対し松本の手がこちら。筋になったので
が出やすくなっているのだ。持ってきたのは
。ここは
切りを選択した。
と
の中筋になっているので
よりも通りやすい牌である。

沢崎は自風のを鳴いていたが、リーチがかかってからは方針チェンジ。
を切ってほぼ店じまい。

続く滝沢の選択。持ってきたのはだ。ここで
を切って、松本から
の出アガりを狙うのもあった。だがそれだとチャンタではなくなるので、12000の手を5800まで下げてしまう。滝沢はツモ切って
に懸けた。