『120点』
難波ちゃんと出会ったのは『新星戦』という私設リーグ。
今からもう7年前ぐらいになる。
この当時、自分が100点だとしたらという質問コーナーがあった時に難波ちゃんは僕を『120点、とにかくミスが少ないし、守備もピカイチ』
こんなに言ってもらえたら絶対に忘れないし、めちゃくちゃ嬉しかった。
言った本人は覚えてないだろうけど。
僕にとって渋川難波は親友でありライバルだ。
しかし、彼は友達を紹介するという企画で僕の名前を挙げてなかった…。
もし同じ企画に自分が呼ばれたら、僕も絶対に彼の名前は出さないと心に誓ったのをよく覚えてる。
神は細部に宿る
皆様こんにちは!
週末記事担当の最高位戦日本プロ麻雀協会の河野直也です!
本日の究極の決断は11月7日・第1試合。
歴代最高打点、最長対局時間など多数の記録が更新された伝説の対局から。
それでは早速スタートー!
『3時間半という長丁場を終えての率直な感想は?』
という問いに
『ほんとに、これは強がりでもなんでもなく、今日はMリーグデビューしてから一番よく打ててた日だったんです』
こう答えたのは、今シーズンからMリーガーとなったKADOKAWAサクラナイツの渋川難波選手。
渋川といえば、素晴らしい解説で見るものを虜にし、今年は惜しくも連覇とはならなかったが、昨年自団体の雀王というタイトルも取り、人気、実力共にトップクラスの選手である。
そんな渋川がここまでMリーグではかなり苦しんでいる。
そして、この日の結果…
『−47,600』
Mリーグの最低得点を大きく塗り替える悪夢のような1半荘。
だが、渋川の内容は素晴らしかった。
全部紹介したいのだが、今回は1局だけ皆様に見てもらいたい。
1回戦・東3局1本場 ドラ
ここまでリーチで勝負からの放銃とノーテン罰符で現在ラス目の渋川。
『またこのままズルズル行ってしまうのか‥?』
渋川の直近4試合が4.3.4.3‥
不調を物語るような成績。
『打点の作り方を見てほしい』
渋川が常々言う、彼の長所であり、一級品。
配牌にはドラが1枚。
この手をどう仕上げていくのか。
7巡目。絶好のを引きタンヤオや平和、そして678の三色も見える高打点のリャンシャンテンになっていた。
そして切り。
ん?
切り?
これが渋川の究極の一打だ。
筆者と渋川は4年前ぐらいに一緒に勉強会をよくしていた。
その時から後輩達に渋川が口を酸っぱく言っているのは、
『自分の手に必要のない字牌の切り順は親の現物を残しましょう! なぜなら、親が一番攻めやすい、その親からリーチが来た時には一発という役を防げるようにしましょう!』
こういう風に指標をくれる渋川は麻雀を教えるのも上手である。
その渋川が。
一枚切れずつの字牌、ただ、押し返すための安全牌として持っておきたいのは持ちやすい方。
したがって、親のたろうの現物のを残したい。
さらにいえば今回の手はまだ雀頭がないが、重なったとき、は平和(ピンフ)になるが、は自分の風牌なので平和にならない。
攻守に優れた。
だが切った牌はだった。
この時の思考を渋川に聞いてみた。
『本来は平和になるし、親のたろうさんの現物のを残したかったんだけどさ、この局、優さんがチートイツをやってる可能性が高くて、それならば、親のリーチが来た時に打つより、優さんからのリーチに打ち出すのが嫌だったんだよね』
実際の優の手牌がこちら。