ジャイアントキリングはならずとも 高宮まりが示した 未来への可能性【Mリーグ2022-23観戦記11/24】担当記者:東川亮

それでも手を崩さず抵抗しようとするが・・・

この単騎待ちをあっさりとツモる。裏ドラは乗らずとも2000は2100オール、これで勝又が高宮を逆転した。

とは言え、高宮の再逆転の条件は700-1300ツモ、出アガリ3900でも本場を入れて同点トップと、それほど厳しいわけではない。そして高宮には、それをクリアしうる手が入っていた。故に、鳴かれそうだとしても【南】は切る。

小林がポン。トップの条件である満貫ツモの材料がダブ【南】ドラ赤でそろった。

同巡、勝又が【5ピン】ポンでテンパイ一番乗り。勝又としては、高宮・小林が逆転手を入れていたとしても、それを蹴れるようになった。

状況は厳しい。しかし、それでもテンパイが入るなら、勝機があるなら。

ベルセルクは、闘いの手を下ろさない。

小林も追いつく。この試合のクライマックスとなった激突は、

勝又が押し切った。そのままトップを獲得。

その瞬間の、高宮の悔しそうな表情と吐息が、やけに印象に残った。

「悔しいですね」
敗戦後は、誰もが口にする言葉だ。しかしこの日の高宮には、あと少しで勝利を得られる感触があったのだと思う。Mリーグの舞台での対局は、通常の対局の何十倍もの経験値になると、あるMリーガーから聞いたことがある。この日は勝てなかったが、この悔しさをバネにしてさらに成長し、高宮がより重要な舞台で強敵を倒す日がきっと来るはずだ。

もしかしたらその勝利は、「ジャイアントキリング」と呼ぶのにはふさわしくないのかもしれないけれど。

 

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