GOAL! 近藤誠一のサウスポー一閃がフェニックスの転換点となる【Mリーグ2022-23観戦記11／29】担当記者：ZERO/沖中祐也

 

をツモって松ヶ瀬が考え込む。
そのまま現物のを切るのが丸いが、それだとドラが出ていく可能性が高い。
マンガンテンパイであればドラを打ち出す価値はあるのだが、近藤の捨て牌を見てほしい。
が光っている。
形が十分である証拠であり、両無筋のドラであるは相当に切りにくい。

そこで松ヶ瀬はなるべくドラが出ていかないように…

を切った。
こうしておけばドラそのものだけでなく、ドラ周り～をツモってもを切って5200のテンパイが組める。

しかし、次のツモに松ヶ瀬の表情は曇った。

 

… あそこでかを切っておけばテンパイになる牌である。
さすがに打は無理かもしれないが、打という選択は十分にあったはずだ。

すぐにが打たれアガリ逃しを確認したあとに…

近藤がリーチ・ツモ・ピンフ・ドラ・赤・裏の6000は6300オールをツモ。
ダメ押しの追加点が入った。

この３局、近藤はひたすらツモに祈りを捧げていた。

勝ちたい気持ちが全面に溢れてしまったのだ。
その気持ちに、日向が小林が松ヶ瀬が、ちょっとずつ引いた。

簡単に見えるがどのアガリもその裏には誰かのアガリ逃しがあり、紙一重であった。
好調とは、不調とは、麻雀とは、表裏一体なものかもしれない。

淡々が一番恐ろしい

ともあれ、勝負の趨勢は決まった。
かのように見えた。

だがこの男が復活の帆をあげる。

不調チーム２番手・小林だ。
まずはリーチ・一発・ツモ・ドラ２・赤の3000･6000。

そして迎えた親番が見事だった。

まず２着も怪しくなった日向が…

 

３フーロしてピンズのホンイツ。
日向が３フーロしてノーテンなんて今までにあっただろうか。
それだけ必死のパッチといえるが、尻に火がついてからリスクを負うのであれば、点棒を持っているときにリスクを負う手もあったのでは… と感じるのは私だけであろうか。

こうして小林が

のテンパイ。が２枚打たれているものの、ソウズは良さそうだ。
ここはお仕置きのリーチ…！

と、思いきや小林はダマに構えた。
解説の元同僚・石橋も「あれ？赤１ですよね？」と驚く。

この選択って本当に勇気がいる。
私は本当に本当に苦手なのだ。
次のツモがだったら… と思うと、リーチせずにはいられない。
ツモ・ピンフ・ドラ１の1300オールなんてしょっぱすぎる。

出るはずのを止めさせてのアガり逃しよりも、得られなかった打点上昇の方がどうしても怖いと感じてしまうのだ。

「ユウキッテナニ？　コワイッテナニ？　アルノハソントクダケダヨ」
と小林に詰められてしまいそうだ。