瀬戸熊だった。
難しい分岐は8巡目。
ドラはだ。
思考の海にしばし潜ったあとで、
瀬戸熊は、
打とした。
こうしておけば、456の三色が崩れにくいのが特長だ。
ツモで三色含みのテンパイとなる。もちろんツモでも嬉しい三面張だ。
ストレートに打った瀬戸熊は、
白鳥のリーチを受けながらドラ単騎のテンパイを入れて、
親の瑞原から三色ドラドラの8000点を討ち取ったのであった。
“瀬戸熊は復調している。”
この試合でハッキリと私は感じた。
今シーズンは、手が悪かったこともあるが、試合中一歩引いたスタンスで麻雀をしていたことが多かったように思う。字牌を多く抱えるシーンや、早めに手を崩す場面が比較的多くあった印象だ。
しかし、この試合では序盤は真っ直ぐ手を進めて膨らませたあとで、
東2局は、マンズの先切り、
南2局は赤固定の打、
と「中盤に差し掛かるくらいで押し返すための安全牌を持つ」というバランスのとれた手順を見せていた。
上記2つの場面はどちらもアガリに結びついた。先日、最強位を連覇した瀬戸熊。麻雀にも勢いを感じる。
そんな瀬戸熊はオーラスに、
ここからをポン! 放銃しても着落ちがないことや、瑞原の仕掛けに間に合わせる必要があること、打点があること、など鳴く要素は多い。実際、いいポンだ。
ただ、門前派であり、チーム雷電所属の瀬戸熊直樹が、リャンシャンテンから鳴くこと自体は珍しいとも思う。
このような伸びのある麻雀は、今の充実ぶりの表れだろう。また、チームメイトの本田が卓上で駆け回っているのを間近で見ている影響も、もしかしたらあるのかもしれないな、と私は感じた。
仕掛けた瀬戸熊は、
すぐにを引き入れてカンチャンのテンパイ。打点は12000。これをアガればトップへと大きく近づく。
「リーチ」
ぶつけてきたのはトップ目の堀だ!
瀬戸熊にポンされていたカンテンパイから、シャンポン待ちに変わってファイナルアンサー。
早々に仕掛けた親の瀬戸熊は、打点がありそうだ。ここでアガられてしまうと、トップを決められてしまう。見ているだけでは厳しい。
一方で、同じく仕掛けた瑞原に関しては、条件があるので2000点であることも多い。堀は2000点なら放銃してもトップだ。
瑞原とともに、瀬戸熊の親を流すため、堀は打って出たのだった。
「小さな天才」堀慎吾。前年度は、足が折れているにも関わらずファイナルの最終日に出場。優勝の立役者となったが、今年はやや元気がない。
ここまで12戦6ラス。それでマイナス135.3なら耐えているようにも感じるが、大きく凹んでいるとは言える。
この日も、東3局、
ドラのと、のシャンポン待ちで役アリテンパイを入れていたところに、両脇から同時にリーチが飛んできた。
立体図で見たらこうだ。
が早く切れているとはいえ、上家の瑞原には
待ちが残っている。また、親の白鳥はツモ切りを続けたあとにを切ってのリーチ。は関連牌であろうし、カンは否定し切れない。
また、どちらに打っても一発が付くターン。トップ目のここは堀、
安全策をとった。
次に白鳥が持ってきたのは、
ドラの。