この試合に関しては、先ほど書いたように噛み合わないシーンもあったが、それよりも堀らしい凄まじい選択があったことを強調したい。
それは、
東2局1本場、親番の配牌からの切り出しだった。
ここで堀は、
打!
一気通貫は?? と思った方も多いだろう。しかし、よくよく考えると一気通貫は狙いづらい牌姿なのだ。
を残すとなると、
赤で囲った牌は一気通貫に必要なので切ることは出来ない。
七対子もあるので、トイツで持っている も持つとなると、ここでの選択はになる。
このときはいいのだが、他に浮いている牌はと。
つまり、一気通貫も見ながら進めると、次に手が進んだときにかが押し出されて、メンツ手が組みにくくなってしまうのだ。マンズも二度受け含みで苦しいので、一気通貫を追うと中途半端な手格好になってしまう可能性が高い。
ならば、
ここで囲った3つのトイツを絶対に使うと仮定するなら、七対子の他にトイトイも見えてくる。が重なれば混老トイトイも現実的な路線となる。
「絶対にマンズを使わなくてはいけない」一気通貫と比べて、縦の手を中心で考える方が、どの牌も使えて自由度が高い。場況に合わせて牌を残すことも出来る。また、メンツ手になったときも、一気通貫にこだわらないのなら、二度受けのを払って好形ターツを望みやすくもある。
よって堀はここで打としたのだろう。
これを瞬時に判断する、堀の化物じみた構想力は今シーズンも健在だ。
今季はここまで牌の巡りあわせも悪かった。このトップを足がかりに、サクラナイツを浮上させている姿が鮮明に思い浮かぶ。
「嬉しいです」
このセリフを何度も何度も聞く季節が、今年もまたやってくるに違いない。
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite