戦闘民族・鈴木優が 強く切り出した發に込めた 確かな勝利への意志【Mリーグ2022-23観戦記1/6】担当記者:後藤哲冶

戦闘民族・鈴木優
強く切り出した發に込めた
確かな勝利への意志

文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2023年1月7日

それは、南3局のことだった。

ラス目の寿人が、三元牌の【中】【白】を仕掛けた。
麻雀を打ったことがある人なら誰しも経験のある、緊張感が走る場面。

そうしてそこに持ってくる――

残った三元牌、【發】
打てば高打点は必至。そして低くない確率で、役満大三元に打ち上げる可能性がある。
もちろん手牌や河の情報にはよるが、おいそれとは切れない牌だ。

しかしこの【發】を手にした戦闘民族鈴木優は。

すぐさまこの【發】を強く切り出した。

そこには幾多もの経験と知識によってなせる読みと。
確かな勝利への意志が宿っていた。

1月6日第2試合

東家 堀慎吾  (KADOKAWAサクラナイツ
南家 佐々木寿人KONAMI麻雀格闘倶楽部
西家 鈴木優  (U-NEXTPirates)
北家 園田賢  (赤阪ドリブンズ)

この半荘は、終始堀がリードを奪う展開になる。
まずは東1局

リーチをかけた寿人に対して鳴いてタンヤオ赤ドラのテンパイを入れた堀が押し切って5800のアガリ。
放銃へと回ってしまった寿人のリーチは

この形からの即リーチ。寿人らしいと言えばらしいのだが、対局後のインタビューで「余裕がなかった」と本人が語っていたこともあり、ここは少し後悔の残る放銃となった。

続く東1局1本場でも寿人から7700をアガった堀。
個人連勝で勢いに乗る堀が今日も幸先の良いスタートを切る。

東1局は2本場に突入する。

中盤でカン【3ピン】のテンパイをダマにした優。
この時の優の視点を見てみよう。

まだ東1局とはいえ、ビハインドを背負った寿人が2枚目の【2ピン】をリャンメンでチーで【1ソウ】の対子落とし完了。
この河で寿人から1000点や2000点は想像しにくい。
親の堀もその寿人に対して4pを切ってきており、やる気はありそうだ。
そしてそれに対して自分の手は赤もドラもないタンヤオのみ。

ここはダマが有利なように思える。

寿人に危ない【4ソウ】も押し切り、冷静ながらも強気な踏み込みで堀の親を落とすことに成功した。

東2局。この局、優は大きな選択を迫られる。

12巡目にテンパイ。待ちは親番で先制リーチを打ってきている寿人の現物、【2マン】【5マン】だ。
ラス目の親が流せるのは大きいのでダマ選択、となりそうだが打点がタンピン赤でダマだと3900。リーチなら8000が確定。
いわゆる偶発役が絡まないなら打点上昇が一番大きいとされているリーチ。
ではやはりこの手は勝負手なので、リーチか。

しかし優の思考は、もっと深くまで及んでいた。
この局面も平面図で見てみよう。

待ちである【2マン】【5マン】はぱっと見、良さそうに見えなくもない。
しかし寿人の宣言牌が【1マン】
【5マン】を先に切っていて、【1マン】が後から出てきたということはこの【1マン】は手牌に関連している可能性が非常に高い牌だ。

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