こんな思いさせるなら はじめから優しくなんてしないでよ! 園田賢、今宵も芸術的なマクラーレン【Mリーグ2022-23観戦記2/14】担当記者:ZERO / 沖中祐也

そして

瑠美からメンホンリーチが入る。
園田、またしてもマクラーレンか?

いや、このリーチは園田にとって追い風だ。

リーチ棒が出たことにより、東城との8500点差が実質7500点差になった。
満貫出アガリOKになったのだ。

そして瑠美の捨て牌を見ると…

いかにも変則的で、リャンメン待ちの可能性は低い。少なくとも自分の【2ピン】【5ピン】より良いということはないだろう。

実際に瑠美の待ちは山に1枚、園田の【2ピン】【5ピン】は山に3枚いた。

あとは自然界の法則で、水が上から下に落ちるように、冬の後には春がくるように、沈んだ陽が登るように、ごくごく当たり前に園田がアガれるはずだ。

まず園田がツモってきたのは…

【9マン】。筋だが生牌

いや、この瞬間、園田は瑠美の捨て牌は見えていなかったという。

「俺か俺以外か」と発したローランドと同じで「【2ピン】【5ピン】【2ピン】【5ピン】以外か」の信号しかキャッチしていなかったのだ。

【2ピン】【5ピン】以外! と小気味いい打牌音を残し【9マン】を切る。

次にツモってきた【東】も何枚切れとか関係なく切る。

【2ピン】【5ピン】以外!」

決着は次だった。

園田が

何も書いていない牌をツモると

【2ピン】【5ピン】以外…! でもなんか危険っぽい! と顔を横にそむけて切る。

しかし決着を知らせる声が、園田の鼓膜を震わせた。

「ロン」

「8000」

配牌を見たときは厳しいと思っていた。

それが大明槓で条件が満ちただけでなく、新ドラがもろ乗りし、なんと【中】が重なって最高の待ちになった。さらにリーチ棒が出てどこからでもアガれるようになった。

1巡立つ度にどんどん条件が良くなっていく… そこからの見事なマクラーレン。

こんなことなら、初めから優しくしないでよ!
と思っただろうか。

いや違う。

この2局だけを切り取れば、トップ目からまさかの3着落ちという悲劇に感じるが、そもそも上のポジションにいなければまくられることはない。

たとえば今回で言うと、仲林は何もできずにノーホーラでラスを引いている。園田よりよっぽど悲劇と言える。

マクラーレンと嘆くことはそれだけアガっており、戦えている分幸せだとも捉えられる。

園田は「その瞬間だけを切り取ってツイてるツイてない」を語ることの意味の無さを誰よりも理解している。

強いてツキを定量化するなら、それは裏ドラ確率でもアガリ率でもなく… 最終的なポイントだ… と園田は語る。

この日、2戦目に村上が劇的なトップを取り、ドリブンズはセミファイナル残留まで希望を残した。

麻雀プロは結果でしか強さを証明することはできない。

ドリブンズが強さを証明するためには茨の道だが── もうその道しか残されていないのだ。

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