止められそうにない 止めたいと思わない【Mリーグ2022-23観戦記2/14】担当記者:越野智紀

なんでもない一局のはずでした。

またも連荘を予感させるような整った配牌をもらった魚谷選手でしたが

イーシャンテンで亜樹選手からのリーチを受けます。

思いのほか手が伸びなかったことで先に危険な【赤5ソウ】を処理する状況判断の良さを見せていましたが、一発で捕まされた【2ソウ】

リーチ前に処理した筋をリーチ一発で掴むと、人は悲しみから戦うことの虚しさを覚えます。

現物はありません。

亜樹選手のリーチがチートイツな可能性もほんの少し考えましたが、リーチ宣言牌の【5ピン】があまり重ねるのに良い牌にも見えず。
メンツ手とチートイツの両天秤で進めていたのなら【9マン】単騎は無さそうかなと

暗刻から【9マン】を切って3巡凌ぐ。

チームに連勝を持ち帰り、笑顔で控室に戻る。

ハイタッチで迎えるチームメイト。

先日連勝したサクラナイツと並走し、雷電も含めたセミファイナル争いが混沌とした状態になる。

この局は明るい未来の前にきた、なんでもない一局のはずでした。

はずだったのに

これが麻雀の恐ろしさか。

これが火の鳥を切り裂く美しき悪魔(良い意味で)の姿。

リーチに一発で放銃したのに、アガリ役にリーチも一発も付かないことの意味。

血の気が引いた体に流れ込む「サンマンニセッ、サンマンニセンロッピャク」の声。

魚谷選手に凌ぐはずだった3巡はこず、明るい未来は暗転しました。

リーチ一発四暗刻で奈落の底に突き落とした亜樹選手。
誰かが【9マン】を固めて持っている可能性を想定するも、変則的な河をしている村上選手もいる中で良い単騎の変化を待つのは難しいと判断。
それより他家の降り打ちも期待できる即リーチを良しと踏み切ったリーチ判断が見事でした。

この一撃を安穏と眺めているわけにはいかなかったのが村上選手。
1日1トップをセミファイナル進出への条件と掲げていた赤坂ドリブンズは初戦の園田選手が3着で終わり、今シーズン未勝利の村上選手にトップ奪取のミッションが託されていました。

勝負の親番で4,000オールをアガリ、連荘をした村上選手でしたが

1本場でラス目の魚谷選手からリーチを受け、押し引きの選択に迫られます。
自身の手はリャンメンとリャンカンのイーシャンテン。
余る【3ピン】【4マン】【8マン】は全て無筋で、一番欲しい【7マン】が2枚切れ。

ここで降りればトップへの道はかなり険しくなりそうでしたが、満貫放銃すれば一旦ラスまで落ちてしまいます。
親番も点数も無い魚谷選手のドラ切りリーチは危険度が高いです。
1日1トップが目標ですが、ラスは3日に1回までしか引けません。

ここまでノートップで誰よりもトップが欲しいはずの村上選手でしたが、ここでの勝負は無謀が過ぎると歯を喰いばって【4ソウ】切りを選択しました。

まだ諦めたわけではないと、憑き物が落ちたような冷静な佇まいで【4ソウ】を抜いた村上選手の前に次々と道が開かれ

【3ピン】が通り

【1マン】が通って【4マン】も中筋になり


シャンポンテンパイで追いついてリーチ。
村上選手の【3ソウ】【9マン】は山に残ってなく、2人で魚谷選手の【7ソウ】を掘り起こす作業が始まりましたが

掴まずツモられずの流局、親番が繋がりました。

これは小さな幸運ですが、今シーズンこういった恵まれた展開に縁のなかった村上選手。

次局も引き戻した【7ソウ】が村上選手の背中を押して

リーチ・一発・ツモ・ドラの4,000は4,200オールと、南場の親番でトップの狙えるところまで浮上しました。

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