それでも彼はテンパイを外した だってあいつは、園田賢 最後まで――できることは全部やる【Mリーグ2022-23観戦記3/17】担当記者:後藤哲冶

上手く回れて、テンパイが入った故に放銃してしまう。
今シーズンも何度も経験してきたことだ。
今はとにかく結果が欲しい。苦しみも受け入れながら、前へ。

東2局は多井が堀から2600をアガって、東3局
園田の親番だ。

6巡目にして、トップ目の多井から【2ソウ】【5ソウ】【8ソウ】のリーチがかかる。

園田はチートイツイーシャンテン。
待ちが必ず単騎になるという性質上、チートイツは後手になると苦しい。

園田が【8ソウ】を掴んでしまう。
チートイツイーシャンテンから、【7マン】を暗刻にした直後のことだった。

1つ頷いた園田が、多井の現物である【9マン】を抜き打った。

「これは回ってます」

解説の河野プロが、珍しく少し強い調子でそう口にした。

対子の【9マン】や西は比較的安全な牌。
どうにかしてこれらを落としながら、流局時にテンパイに持っていく。
それが、園田の下した判断。あの瞬間の頷きに込められた意味。

どんなに道が苦しくても。
アガリが見込めなくても。
リーチを受けていても。

園田賢はいつだって、やれることは、全部やるから。

園田の粘りも虚しく、多井がしっかりとツモアガる。
リーチツモドラ赤は2000、4000のツモアガリ。
園田は4000点の失点となってしまった。

ドリブンズにとって残り6回だった親番が、5回になった。
ポイント状況を鑑みるに、もう1度たりとも無駄にはできないが、無情にもその回数は減っていく。

点数状況はほぼ変わらないまま、勝負は南場へと突入。

南1局
園田の手牌はドラが1枚ありまとまっている。
ここまで加点がない園田としては、このあたりで一度アガリを掴みたい。

しかしまたしても先制テンパイがとれない。
堀から低い「リーチ」の声。

その一発目に、カン【7ソウ】を引き入れた。
イーシャンテン。
通っている牌は【4ピン】だが、【4ピン】を切ると受け入れ枚数がかなり減ってしまう。

当然のように、通っていない【2ソウ】をプッシュ。
【4ピン】を切ったところで、後が続かない。それならば、今はとにかくアガリに一番近い方へ。

次巡、切らなかった【4ピン】を引き入れてテンパイ……!

気合の表れか、大きく、園田が息を吐いた。

ペン【7ピン】と待ちは悪いが、そうも言っていられない。
チーム状況を考えても、ここは強気にリーチに行くしかない。
だから今、気合を入れたのだ。
そう、多くの視聴者は思ったはずだ。

園田がゆっくりと自らの手牌に手を伸ばすと――

【9ピン】……!
この場面で、園田の選択はテンパイ外しだった。
確かに、ペン【7ピン】は待ちとして弱く、強い浮き牌である【6ソウ】にくっつけば、大体はタンヤオという役がついて帰ってくる。
しかし、しかしだ。
【8ピン】【9ピン】はリーチの堀に通っていない。
どちらの牌も、だ。

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