変わるが吉か変わらぬが是か
選手たちに見た変化の気配と
結果を出した日向藍子
文・東川亮【木曜担当ライター】2020年10月15日
大和証券Mリーグ2020が始まって2週目。
まだまだ序盤も序盤、必要以上に結果に一喜一憂する必要はないが、やはり推しのチームの選手が勝てばうれしいし、チームの名前が順位表の上の方にあるのは気分がいいものだ。
第2回戦は初戦を勝利した瀬戸熊が連闘、残る4人編成の3チームは、いずれもこれがシーズン2戦目となる選手を起用してきた。
全チームがポイントをマイナスしているだけに、ここで勝って、チームとしても個人としても浮上のきっかけをつかみたいところだろう。
第2回戦
東家:前原雄大(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
瀬戸熊は今シーズン、少し仕掛けのタイミングを変えているように感じる。
開幕戦でドラの後付けに受けたポン、あるいは今日の第1戦で見せた500オールの仕掛けなどは、これまでにはあまり見なかった印象だ。
とはいえそれは打点があるか、連荘や他家への対応など、明らかなメリットがある場合のみだ。
だからこの試合の東1局、2巡目に朝倉から打たれたは鳴かない。
この手を2巡目から鳴いて形を固定するのはさすがに雷電の麻雀ではない、ということだろう。
門前で進めて七対子のテンパイ。
がほどよく切られているだけにはいい待ちとなっているが、瀬戸熊はヤミテンに構えて日向から1600点を出アガリした。
瀬戸熊ならこの手はリーチするかと思ったが、理由を考えるなら、より確実にアガリをとっていいイメージのまま親番を迎えよう、ということか。
東2局、親の前原は平和赤赤ドラ、ヤミテンで満貫の手を躊躇なくリーチと打って出た。
ヤミテンに構える打ち手も多そうだが、ツモればハネ満スタート、出アガリでも一発や裏ドラが絡めばハネ満と、序盤の主導権を握るには十分な打点が確保されている。
早い巡目で相手が押し返しにくく、何よりツモれる回数が多い。
きっちりツモって3000-6000、一撃高打点を決めた。
東3局、朝倉のカンチー。
門前では間に合わないという判断だろうか、これはなんとも「らしい」仕掛けだと感じた。
北は1枚抱えて安全を担保しつつ、親番でプレッシャーをかけながらテンパイに向かっていく。
とはいえ、この形からドラ切りテンパイは取らず、切り。
自身で鳴いているとのシャンポンは待ちとして弱い上に、ドラを見せれば相手に打点を安く見積もられ、押し返されてしまうことも考えられる。
一本調子にならず、局面に応じて適切に対応していける冷静さが、朝倉の良さだと言えるだろう。
そして、ドラを重ねて満貫のテンパイ。
この最終形にたどり着ける打ち手はなかなかいないのではないだろうか。
しかしこの局は、ホンイツ七対子のヤミテンを入れていた日向に瀬戸熊が放銃。
朝倉の待ちも残っていただけに、日向としては親の大物手をかわしつつ自身が大きく加点するという最高の結果を得た。
東4局では朝倉のシャンポン待ちリーチに日向が追っかけ、朝倉から満貫を直撃。
日向の2局連続の大物手成就で、前原を逆転してトップ目に立った
東4局1本場、朝倉に強力な手が入り、2巡目で早くも分岐点。
現状イーシャンテンの七対子に取ってもいいし、シャンテン数は落ちるがメンツ手に向かってもいい。
朝倉はのトイツ落としでメンツ手へと舵を切った。
七対子はここからテンパイするまでに時間がかかることが多く、決め打ったところでテンパイしなければ、先制を取られたときに危険牌ばかりが手残りしている、ということにもなりかねない。
おそらく朝倉は、この手でオリることなど微塵も考えていない。
であれば、仕掛けも考えながらよりアガりやすいルートを選択したということだろう。
ドラのが鳴けなくても門前で仕上がればよし、三色や一盃口になれば打点も十分だ。