四暗刻をよそに淡々と
逢川恵夢、念願の初トップ
文・虫かご【金曜担当ライター】2025年9月26日
新人 VS 先輩
四暗刻?ダマ倍満?裏3?チームのエース格がしのぎを削り、派手な乱打戦が繰り広げられた卓の隣で、負けじと火花を散らす新人選手2人の姿があった。
9月26日(金)のMリーグ。麻雀LIVEチャンネルで中継された第一試合に臨んだのは、こちらの4選手。

第1試合
東家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:浅井堂岐(セガサミーフェニックス)
西家:永井孝典(EX風林火山)
北家:逢川恵夢(EARTH JETS)
新規チーム参入による試合数増加を受けて、前日から始まった2卓同時開催。これまでも使用されていた卓を「白卓」、その隣に新たに設けられた卓を「黒卓」と呼称する声もある。
2卓に対して会場への入り口は一つ。気になっていた入場シーンも、それぞれの卓の選手が交互に入ってくるスタイルだ。一列に並べられた商品がきれいに選別されていく工場ラインのようで、少し微笑ましい。

さて、今回の「黒卓」は、今年から参戦した逢川と永井が、初戦に引き続き同卓する格好となった。逢川は2着、永井はトップをとって上々の滑り出しを決めている。迎え撃つ滝沢と堂岐は、思うようなスタートダッシュとなっていないが、どのような展開となるか。
「ずるい」逢川、怒濤の和了ラッシュ
東1局。逢川に好配牌が舞い降りる。ドラの白がトイツで、その他の面子もほぼ決まったと言っていい。

案の定、2巡目に早々とポンテンが効く手牌となった。滝沢から出たを鳴き、永井の
を捉えて8000を直撃した。
麻雀の神様がくれたご褒美のような和了。これには逢川も、試合後のインタビューで思わず「ずるい!」と振り返った。
続く東2局でも、東1局と同じような形で堂岐から8000を直撃。

東3局でも1000点のかわし手を決め、勢いのままに3局連続和了となった。
粘りを見せる「同期」
対する「同期」の永井も負けていない。東4局では、親番を迎えた逢川がペン待ちで一気通貫確定のリーチを敢行するなか、
待ちで追っかけリーチ。逢川から8000を直撃した。

南2局でも、堂岐が連荘に向けて食い下がる中、しっかりとツモって2000-4000の和了を決めた。

エゴのぶつかりあいの果てに
そして迎えた南4局1本場。点棒状況はこのようになっていた。

連荘や流局が一度もなく、かなりスピーディーに対局が進行していた中、逢川が滝沢から3900は4200をアガった直後である。ちなみにこの頃、別卓では渋谷ABEMASの白鳥が四暗刻をアガっていた。
好配牌を授かったのは永井。逢川との差は4900点。十分すぎる材料だ。3着目の滝沢も着順保持に舵を切りそうな場面のため、トップ奪取に向けて猪突猛進の構えか。

滝沢は、早々にカンのチーから発進。タンヤオの和了で試合を終わらせにかかる。

堂岐も黙ってばかりはいられない。決して良いとは言えない配牌から、絶好のカン引き。着アップも期待できる手牌になってきた。

堂岐から打ち出されたにチーの声をかけたのは永井。急所となっていた塔子を解消し、和了への道筋を見出す。

ここまで、逢川、永井の両ルーキーが身軽に卓上を暴れ回り、先輩2名がなかなか前に出られない展開が続いていた。それがようやく、この最終局面で各々の主張が複雑に絡み始める。4者で競技する麻雀だからこそ、それぞれのエゴとわがままがぶつかりあう瞬間が何にも勝って面白い。

いちはやくテンパイをいれたのは堂岐だった。どこから出ても3着目に上がる。ダマテンの選択をとった。
堂岐がダマテンを選ぶきっかけとなったのが、永井の河に並べられただ。逢川としては、下家の滝沢をアシストしてでもトップを勝ち取りたい場面。僅差の2着である永井への放銃を避ける打牌選択をとった場合、永井の現物である
が打ち出される可能性もあると考えたのだ。山には和了牌が残っていないが、直撃の可能性は十分にある。
すぐに永井もで追いつく。

すると、逢川も絶好のカンを引き入れテンパイ。ダマテンでも出和了が効くが、リーチを宣言した。試合後のインタビューで、流局までの道のりが長かったことを理由に挙げ、ここで突き放す選択を取ったと振り返った。

それぞれの主張をねじ伏せるかのように、真っ向勝負を挑んだ永世女流雀王。当然のごとく、堂岐も空切りリーチで追いかける。
結果は、逢川がつかんだを滝沢が鳴き、テンパイとなったところで
を放銃。逢川の3900は4200の和了となった。

2本場でも逢川、永井の両名がリーチを敢行する中、滝沢が着順キープのツモ和了を決め、対局が終わった。
