この手が予想以上の伸びを見せた。
5巡目でが暗刻になり、さらに次巡引き。
考え得る限り最高に近いツモと言ってもいいだろう。
そして7巡目にテンパイ、ヤミテンへと構えた。
出アガリでも最低満貫、ツモなら確定でハネ満という弩級の手だ。
次巡、前原が平和テンパイ。
ここはリーチかと思ったが・・・
前原は テンパイ打牌を縦に置き、次巡に400-700は500-800をツモ。
ヤミテンの理由はや赤引きでの打点上昇を見たか、ドラの見えない状態で安いリーチをかけることを嫌ったか、あるいは親落としの価値を重く見たか。
いずれにせよ、前原のアガリは朝倉の勝負手を阻んだ。
迎えた南場では、瀬戸熊が第1回戦同様のラッシュを見せる。
まずは南1局、暗刻にドラドラという手をもらい、前原から8000点のアガリ。
次局、親番では2軒リーチに挟まれながらも片アガリのを日向から仕留めて連荘。
続けた親番でも6巡目のリャンメンリーチをツモって1000は1100オールと、少しずつ加点をしていく。
この局では3巡目に打たれた1枚目のをスルーしているが、やはり門前で高打点を狙える場面では門前で手を作っていく、ということなのだろう。
瀬戸熊、朝倉、日向の3人テンパイによる流局を挟んだ南2局3本場、朝倉が先制リーチを打つ。
親の瀬戸熊、そして前原も、このリーチに放銃するとラスもあり得るだけに引き気味だ。
しかし日向だけは、強い牌を押していく。
手の内は門前ホンイツのイーシャンテン、赤もあって高打点が色濃く見える形だけに、ある程度は押すに見合うという判断だろう。
しかし13巡目、持ってきたはドラであり生牌。
ここで日向は長考に入った。
現物は1枚、抜けばこの手はほぼ店じまいだ。
巡目も深くなってきており、現状ではトップ目、ここでやめる選択も十分に考えられる。
もちろん、強気に押して高打点を決めこの試合の大勢を決するという決断もあるだろう。
日向はイーシャンテンキープのスジのをプッシュ。
そして15巡目、何とが重なり、一度は抱えたドラを打てばテンパイという局面になった。
ここで再び長考。
さすがに巡目が深すぎる上、ここまで来てドラを押すのが果たして見合うのかどうか。
カメラが日向と朝倉を映す中、意思の伝わる打牌音が響く。
打、日向の決断は前進だった。
結果は流局。
試合後インタビューによると、日向は「行くべきか行かないべきか決めきれなかった、でも打ってもラスにはならない、満貫じゃない可能性もある」と考えていたという。
とはいえ、日向は比較的守備的な選択をする選手と思っていただけに、この押しには強烈な印象を受けた。
昨シーズンの日向なら、どこかで手を崩していたのではないだろうか。
南3局4本場は親の朝倉が一色手をあっさり仕上げ、満貫ツモで2着へ急浮上。
しかし次局、日向がと鳴いてあっさりテンパイし、自力でをツモって朝倉の親を蹴った。
実は、このとき朝倉の手には、が1枚浮いていた。
いつ打たれてもおかしくないこのを打たなかったことで、朝倉は2着目でオーラスを迎えることができた。
意図的なものかたまたまかは現時点では分からないが、これが大きかった。