待て、あわてるな。
これは松ヶ瀬の罠だ
文・越野智紀【金曜担当ライター】2022年1月7日
Mリーグ2021(1/7第1試合)
東家:近藤誠一(セガサミーフェニックス)
南家:松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)
西家:丸山奏子(赤坂ドリブンズ)
北家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
国士無双とチートイツ以外のアガリには四面子一雀頭が必要です。
面子の中では同じ牌三個で出来る刻子より連続した三個の数牌で出来る順子のほうが作りやすいので、数字の繋がっている牌は局の序盤から捨てられることが少なくなります。
これが序盤に切られた数牌の隣の牌は、その人の手に無さそうと読まれる理由です。
東1局。
好配牌を得た松ヶ瀬は一打目に切りを選択しました。
は一面子一雀頭なら作りやすいが、二面子を作るには不向きな形です。
雀頭の部分が暗刻になるかなどを引いて順子に変化した時には役に立つですが、現状では不要な牌。
さらには切りでの場況良しと他家をミスリード出来ればしめたものです。
イーシャンテンまで手が進みマンズ・ピンズ・ソーズのどこの受けを嫌うかの選択となった松ヶ瀬。
受けが広くアガリやすさならマンズで、安定した打点の高さがあるソーズ。
引きの役無し赤1テンパイも悲しすぎるのでを切るかと見ていましたが
場況を見てソーズ受けにした相手にで放銃なんていう掘った墓穴に綺麗に嵌る展開だけは避けたいということもあり、安全面とアガリやすさを考慮してを選びました。
次巡を引いて不満そうな松ヶ瀬でしたが、そこからは絵に描いたような展開。
親の近藤にカン待ちのテンパイが入りました。
近藤視点では悪く見えないので迷わずリーチを打つも、これが松ヶ瀬の罠。
追いついた松ヶ瀬が待ちでリーチをぶつけました。
自分にアガリ逃しがあった後に相手のアガリがあるのが『麻雀の流れ』なんて言う人もいますが
ピンズでアガリを逃しても
ソーズでアガリを逃しても
相手にはアガリが来ず。
技術が流れを凌駕していきました。
調子の良さそうな松ヶ瀬でしたが、次局の親番で奇妙な降り打ちをみせます。
丸山の早いリーチに対し、最終手番で完全に手詰まった松ヶ瀬。
はが全部見えてノーチャンスになるもドラ。
は中筋ですがリーチ宣言牌のが怪しく光り、からの切りだと当たり。
はが3枚見えてワンチャンスも、ベタ降りしてそうな他家からが出てこないので最後のは丸山にありそうです。
長考した松ヶ瀬は裏スジと呼ばれるを切りました。
カンのダマテンからを引いての待ちや、からの切りじゃないことを願いましたが
これがの形にズドン。
一見すると目眩がしそうな放銃ですが、この形での待ちならドラのがトイツなことはありません。ドラ暗刻の場合もからを切ってに受けることはまず無さそうです。
ドラがトイツや暗刻のカン待ちは即リーチになりそうなので、カンのダマテンからに変化した場合も安くすみそうに見えます。
手詰まりした時は放銃しても安い牌を選ぶことが大事で、松ヶ瀬の守備力の高さが今回の降り打ちから垣間見えました。
逆に痛恨の降り打ちが出てしまったのは近藤。
東4局。
松本と丸山の2軒リーチに挟まれ、捻りだしたワンチャンスのが
丸山のシャンポンに捕まって満貫の放銃となると、さらに続く南1局。