回収するのは、勝利と伏線？！　軍師勝又健志が張り巡らせた[罠]とは【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記4／21】担当記者:後藤哲冶

様々な状況がかみ合って、伊達のが放たれる。
東１局から張り巡らせた、軍師勝又の罠は、今ここに結実したのだ。

7700のアガリで、頭１つ抜けたトップ目に。
そして更に１本場で――

リーチ一発ツモピンフドラ赤の6000オール一閃。
他者を大きく引き離し、トップの立ち位置を盤石なものにした。

この展開になれば、勝又の局回しが光る。

南２局１本場

暗刻だったが、４枚になった。これでリャンメン２つのイーシャンテンにとることができるが……

勝又の選択はツモ切りだった。
を切ると内川と優のリーチに対しての安全牌が無くなる。
リーチをかけるつもりがないのなら、タンヤオが崩れるは不要牌だ。
もちろんカンもすることが無いので、仕掛けた親の伊達に高いマンズを先に放しつつ、アガリを拾おうという一打。

攻守のバランスに優れた勝又らしい一打だ。

これを内川から捉える。
タンヤオ赤の2600点で、なんとか繋ごうとする伊達の親番を断ち切った。

南４局
勝又はこの大きなリードを持ったままオーラスの親番を迎えることができた。
こうなったらやることは一つ。素点を伸ばしきること。

安全牌も持たず、目一杯に手牌を広げて、スーパー軍師タイム突入を目指すが。

２着目の優が、それを許してはくれなかった。
の受けからチーしてのバック。絶対に２着を守り切るという現実的なチーで、この半荘は幕を閉じた。

東場の親番で見事な選択を見せてくれた勝又が、チームに久しぶりのトップを持ち帰った。
これで風林火山は再びプラス３桁に復帰。
まだまだ安全圏とは言えないが、苦しんでいたチームに大きすぎるプラスポイントをもたらした。

インタビューの中で、勝又は東１局の押しが、東４局に伊達が勝又をイーシャンテンと思ってくれる伏線となったかもしれないという可能性について言及した。
もちろん、その要素が伊達の中であったかどうかは確定できるものではない。

けれど、その少しの要素も無駄にしたくないという勝又の意志ははっきりと伝わってきた。
そうした小さな要素の積み重ねが、勝又の麻雀を形作っている。

――塵も積もれば山となる。
その宝石のような塵を積み上げた先に、風林火山のＭリーグ優勝が見えてくるのかもしれない。