親番でリーチを打ってきた伊達に、勝又はドラ3のカンで追いかけリーチ。
見事伊達から捉え、すぐに先ほど取られた失点を取り返すと。

続く東3局ではまたも伊達からをダマテンで打ち取っての1000点のアガリ。
基本は形や打点が良くなる牌の種類があまり多くない場合は即リーチが有効とされているが、これはツモでの3翻アップが大きすぎた。
逆に言うとをツモれなかった場合はこれをかわし手としても良いという判断。
こうして勝又はトップ目で親番を迎え入れることに成功する。
そして圧巻だったのは、この東4局だ。

勝又はを引き入れてイーシャンテン。
ドラがということもあり、
を打ちつつ、
引きで頭ができたらダブ
をポンするような想定にするかと思われたが。

勝又は一切の時間を使わず、に手をかけた。
……実は私はここで思わず生放送で見ていることを忘れて動画を止めそうになった。
立体図を見てみよう。

確かに、よく見てみるとくが3枚切れていて、も1枚切れている。目に見えて残り4枚で、カン
と見た目枚数は変わらない。
ならばを払いながら、ダイレクトの
の他に
で形が強くなるピンズを丸々残しつつ、ダブ
のポンも想定する。
こうしておくことで、引きでの567三色も見ることができる。
なるほど確かに、ここまで思考を巡らせれば切りの意図はわかる。
しかし、は3枚切れではあるが、このような端牌の3枚切れはかなりの確率で山にあることが多い。
他2つが愚形ターツである以上、おいそれとは払えないリャンメンターツだ。

この選択をこともなげに、淡々と。
一瞬で導き出せるのが勝又の強さ。経験値の高さと言い換えることもできる。

この局の先制は優だった。
カンの役なしテンパイからドラの
を引き入れて
待ちのピンフドラ1リーチ。

同巡、を引き入れて形が良くなっていた勝又が追い付いた。
ドラのを引き入れて、イーペーコードラ1のカン
テンパイ。

優のリーチを受けて、困ったのは伊達だった。
かわし手のイーシャンテンだったが、リーチを受けて現物がない。

致し方なく、ここは字牌対子のに手をかける。

といえば、テンパイを入れている勝又の雀頭の牌だ。
ポンをすればダブドラ1で打点アップの上に、待ちも
か
を選ぶことができる。

しかし、勝又はスルー。
そもそも現状テンパイであり、を通したことで
が中筋になっている。
安牌に窮した他家からの出アガリが期待できる現状、わざわざか
の放銃抽選を受ける必要がないと判断。

そして引き入れる、。
こうなると話が別だ。メンゼンでのダブドラ1は7700点で打点十分。
そして、伊達から打たれたはリーチに対して通っていない牌ということもあり、対子落としの可能性が一定数あることを見抜いていた。

を切ってダマに構えた。

軍師は座して静かにその機を待つ。
伊達の手牌右端に置かれた、が場に放たれるその瞬間を。

苦しくなったのは伊達だ。
勝又の押しが見えていないはずもない。
しかしこれから来るかもしれない勝又の親リーチに、現物のは取っておきたい。
この時伊達の脳裏に、東1局の勝又の押しっぷりがよぎったのなら。
「もしかしたらまだイーシャンテンかも」という思考になっておかしくない。事実、あの時はイーシャンテンから押していたのだから。
第一、今が当たるなら勝又にとってダブ
なだけに前巡にポンしていることの方が多そうなのだ。