冷徹な見方をすれば、白鳥はそんな心理を利用した合理的な選択をとったとも見える。
しかし間違いなく勝負としては正しく、人間同士の戦いの面白さが凝縮されていたと言っていいかもしれない。
岡田が17巡目、二人が待望したマンツモを果たす。
元の点棒状況ならウマオカで伊達に+50、亜樹に+10だったのが、
岡田の同点トップで伊達は+30、亜樹が-10になったのだ。
情緒と実利が喚起した、小さなその点棒。
Mリーグの意味や、目標など──、色んなものを包含して、リーチ棒は卓上に落ちた。
白鳥は、すぐ目前に迫るさらなる戦いのために。
岡田は笑顔で、このシーズンにさよならを告げるために。
それぞれの未来に向けて違った価値が、確かにそこにあったのである。
日本プロ麻雀協会1期生。雀王戦A1リーグ所属。
麻雀コラムニスト。麻雀漫画原作者。「東大を出たけれど」など著書多数。
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Twitter:@Suda_Yoshiki
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