覚悟の形テン拒否!
女海賊・瑞原明奈が
チームに持ち帰った
“ひとつなぎのトップ”
文・渡邊浩史郎【金曜担当ライター】2021年2月26日
いよいよ各チーム残り10戦を切ったMリーグ。
ここからは一戦一戦の敗北が取り返しのつかないものになってくる。
こうなってくると大事になるのが各試合ごとの選手の起用、つまり監督の采配だ。
Mリーグでは普段表舞台に立たないが、各チームにそれぞれ監督が存在する。Mリーグ2020開幕直前に各チーム監督たちによるスペシャルマッチが行われたのはもう遠い昔のことのように思える。
そのスペシャルマッチでも異色の存在感を放っていたパイレーツの木下監督。2月に入ってからは目に見えて分かる采配をしかけてきていた。
毎回Mリーグを見ている人ならお分かりであろう。「一日一コバゴー」作戦である。
実際にこの作戦で今月ポイントを170以上プラスしている。本日小林が出場することになれば「一日一コバゴー」作戦で2月を走り切ることになる。
そんな注目の中で本日の先発は
瑞原明奈だ。
2月26日 第1試合
南家 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家 瑞原明奈(U-NEXTパイレーツ)
1位、3位、5位、7位チームの対決、エース級がぶつかる形となった1戦目。ここは小林をずらした形となったがどう出るか。見ていこう。
【東1局】
ドラドラの配牌をもらった瑞原。3巡目で愚形残りながらイーシャンテン。
6巡目に両面ができるが、この受けはが3枚切れ。ここは……
打とした。打としたほうが瞬間の聴牌受け入れ枚数は多いが、ここでをほぐしておくとタンヤオがつくだけでなく手牌に一枚分余裕ができる。後にピンズが変化したより広いイーシャンテンを受け入れることができたり、安全牌を受け入れられることも考えると打ちが秀逸といえるだろう。
多井が親番での一鳴き後、最終手出しが。この状況で瑞原が引かされたのは。
ここは一旦現物ので迂回した。で迂回する方が聴牌までの単純枚数は多いものの、ここはほんのり寿人ケア、そしてが多井の現物であって鳴きやすいことによる形式聴牌効率を意識した形だろうか。
この選択が見事にはまり、自力でカンを引き入れる!そして即リーチ!
ドラドラのこのテンパイを降りていたり、巡目が深いからといって黙って出アガリ逃し、ツモ1000・2000と言っていられるポイント差ではない。追い詰められた海賊たちの放つ刃はいつだって切れ味抜群だ。
この手をアガることこそできなかったものの、一人聴牌で流局。
しかしその後は攻めあぐねる横移動の展開が続き、平たい状況で南場に突入。
【南1局】
三色がくっきり見える形になった瑞原。
ここはを残して切り。は親の多井の現物・一応一気通貫の種であるのに対し、は多井、寿人の裏筋で手役にも絡まない牌。ほぐすことで後の安全度も見た形だが……
赤入り麻雀で5が絡む受けを外すということは、この裏目を引くことを受け入れなければならない。
持ってきたのは無情の。
ここはを切りだしていった。裏目でこそあるものの、赤を引いて手牌の価値が上がった事実には変わりない。打点が上がったなら目一杯に持とうということだろうか。
印象的な選択で次巡イーシャンテンまで持っていくがこの局も横移動で終わる。
【南1局1本場】