雷電にファイナル初勝利をもたらしたのは 卓上に魂をBETできる男、瀬戸熊直樹!【Mリーグ2022-23ファイナル観戦記5/9】担当記者:ZERO / 沖中祐也

しかも毎回1時間。
1時間って相当疲れるよ。

健康のためでもあるが、もちろん麻雀のためでもある。

長い時間戦っても負けないための体力をつけるため。
苦しいときにもうひと踏ん張り耐えられる精神力をつけるため。

年齢を重ねた現在でも、自分よりも若い連中と対等以上に渡り合うため、瀬戸熊はずっと走り続けているのだ。

東3局1本場
松ヶ瀬の親リーチを受けた瀬戸熊の手牌がこちら。

タンヤオピンフのイーシャンテンではあるが、不要である【4マン】【7ソウ】も超がつく危険牌である。
【7ソウ】に関しては松ヶ瀬のリーチが【8ソウ】【白】【9ソウ】という順番なので、

【5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】【9ソウ】【9ソウ】

からの打【9ソウ】【4ソウ】【7ソウ】待ちが容易に想像できる。
かといって【4マン】に至っては両無筋な上に自身が1枚切っている牌だ。

もし、心が守りに入っていたら、ワンチャンスの【3ソウ】あたりを切っていたかもしれない。
そしてその【3ソウ】は松ヶ瀬の当たり牌だったのだ。

瀬戸熊は思案に暮れる。

その表情も、戦う男の表情だ。体力負けは絶対にしない。
そして

射抜くように【4マン】を勝負。

すぐに【8ピン】をチーして【2ソウ】【5ソウ】待ちで親リーチにぶつけていく。
その後、危険牌を掴むこともなく、アガリ牌をツモることもなく…

熱いめくり合いは流局に終わった。

続く2本場、半荘の中で唯一気になった選択があった。

瀬戸熊は寿人(上家)から打たれた【7マン】を鳴かなかったのだ。
リーチ・タンヤオピンフの見える勝負手だから、鳴かないのは当然に見えるが

・トップ目
【2マン】【5マン】【8マン】はドラ表示牌を含む2度受け
・親がダブ【東】を切ってきている

ということもあり、鳴いてさばいていく一手にも見える。

だが瀬戸熊は動かない。
親が早そうだからこそ、タンヤオで手を短くしたくないし、何より三の矢を放ちたい。
そして40000点離れている親にムキになる場面でもないとの判断か。

たしかに瀬戸熊が【7マン】をポンして【6マン】を切ると、周りはポンテンに見える。
二度受け【2マン】【5マン】は読み筋に入り、簡単に出る牌ではないだろう。

数巡後、松ヶ瀬からリーチが入り

剛腕でシャボ待ちを手繰り寄せ、4000は4200オールが炸裂。
瀬戸熊は結果的には鳴いていれば次の巡目にアガっていただけに、これをどう捉えているだろうか。

いや、瀬戸熊は鉄の意志でスルーしたからこの結果は気にしていないか。
それとも幾ばくかの後悔があったのか。聞いてみないとわからないが、インタビューを見る限り、ポンの選択はほとんどなかったように見える。

そして運命の3本場を迎える。

4巡目

牌効率でいったら【9ピン】を切る手牌だが、親の松ヶ瀬の捨て牌に対し【9ピン】は筋で、【1ピン】【2ピン】は危険である。
「腰が引けてたら【9ピン】を残していた」
と語る瀬戸熊。その【9ピン】をトイツ落とししていく。

実際に松ヶ瀬は、【2ピン】【5ピン】受けのあるイーシャンテンだった。

その【5ピン】を持ってきて、無慈悲な親の三面張リーチ!!

ロサンゼルス・レイカーズ(バスケットのプロチーム)を意識したパープルヘアーが暗闇に浮かび上がる。

無慈悲なリーチを受けた瀬戸熊の7巡目。

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