七対子か、七対子以外か【Mリーグ2022-23ファイナル観戦記5/11】担当記者:ゆうせー

スジにかかっていて即リーチにいける牌を残した面もあるが、どちらかといえば【4ピン】に続けて【2ピン】を切ることで「ターツを落としたこと」と見せたかったのだろう。

いつまでも【2ピン】が残っていると変則手を疑われてしまうのが理由だろう。また、ターツ落としを見せつけることで、他家に対して無言の圧力を与えられる点もある。

次巡、

【7ピン】を引き入れてリーチだ!

河は完璧。残す牌の選択もパーフェクト。そして待ちは、たった今切れたばかりの【白】だ。

自分が打っていたら「勝ち確だ…」と思いそうなこのリーチ。

だが、ここはMリーグだ。

仲林が咆哮したシーンに戻ろう。

親番の萩原は、この【白】を止めた。

セミファイナルから萩原の粘りが増しているのを感じる。

ここも、【白】を切ればイーシャンテンだが、自身の手には愚形が2つ。しかも浮いている【6マン】もリーチに通ってはいない。

トップ目とはいえ微差で、自身は親番。押したくなるところだが、手牌価値の低さと2枚押しの危険とを考慮してオリた印象的な場面だった。

全員きちんと対応し、終盤に突入。

勝又の一人テンパイで流局か… と思われたそのとき、

白鳥にテンパイが入る。

だが、そのためには通っていない【5ピン】を切らなければいけない。

(勝又の河にある暗転してた【7ピン】は、勝又が切って滝沢に鳴かれたタイミングを表している。白鳥から【7ピン】は2枚見えの状態だ。)

解説の二人も唸る。

優「ちょっとこれは切りづらい…」

仲林「残っている無筋が【5ピン】【8ピン】【6ピン】【9ピン】しかないですね」

【5ピン】を押すのはかなり難しそうだ。

考える白鳥。

その白鳥を対面から、

じーーーっと見つめる勝又。

意を決して白鳥は、

【5ピン】を打ち抜いた!!!

後に白鳥がインタビューで語っていたが、この局は「数牌が縦に寸断されていて、メンツ手が作りにくい場」になっているのだ。

もう一度立体図を見てみよう。

白鳥の目線から4枚見えている数牌は、

【2マン】 【3マン】 【4マン】 【5マン】 【8マン】 【1ピン】 【5ソウ】 【6ソウ】

である。ということはこの局、マンズで数牌を横に並べたメンツは作れないことが分かる。

さらに、ソウズも【5ソウ】【6ソウ】が全見えなので、【1ソウ】【2ソウ】【3ソウ】 【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】 【7ソウ】【8ソウ】【9ソウ】 の3パターンしか牌を横に組み合わせられない。

メンツ手が極めて出来にくいため、相対的に勝又のリーチが七対子である可能性がアップしているのだ。

また、最終手出しの【2マン】の意味を考えることが、勝又の手牌推理に役立つ。

先に述べたように、マンズは【2マン】【3マン】【4マン】ともに全部場に出ている。ということは、勝又は【2マン】を複合形で持っていた可能性が極めて低くなっていると言える。また、先に【2ピン】【4ピン】のターツを落としていることからも、【2マン】をくっつき期待で残していたわけでもなさそうだ。

よって、【2マン】が関連牌だとすると、勝又は「待ちごろの単騎」として抱えていた可能性が上がり、このことも勝又の手が七対子だということを後押しする。

もちろん「読み」なので、あくまでも濃淡の話だ。【5ピン】は100%通る牌ではない。

【1マン】は通ったものの出切ってはおらず、【2マン】を絡めてブロックで持っていたパターンが存在するので、

【1マン】【1マン】【2マン】【9マン】【9マン】【6ピン】【7ピン】【7ピン】【8ピン】【9ピン】【7ソウ】【8ソウ】【9ソウ】 ツモ【9マン】【2マン】リーチ

のようなごく限られたケースでメンツ手のテンパイが入っているのは想定出来る。

それでも、先に述べたように真ん中で枯れている数牌が多いことに加えて、「他家が持っている数牌」を合わせて考えると、さらに勝又はメンツ手が組みにくい状況だと考えられる。

リーチに通っていない部分は、ドラ周りの愚形待ちで危ない【7ソウ】【8ソウ】や、ピンズの中頃【5ピン】【6ピン】【8ピン】【9ピン】あたりだ。

このへんを滝沢や萩原が止めていると考えると、勝又がメンツ手である可能性はますます下がるであろう。限られた牌の組み合わせで、他家がそれらの牌を持っていないときにしか、4メンツ1雀頭が作れない。

よって白鳥は「【5ピン】を押してテンパイ料をもらいにいった方が得だ」という決断をしたのだろう。

勝又が七対子だとして、【赤5ピン】単騎があるのでは? という意見もあるはずだ。

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