【西原理恵子 & 山崎一夫】麻雀はまずネットで覚える!

麻雀はまず
ネットで覚える

私が麻雀を覚えたのは学生時代。

パチンコ店の正社員で働いていた時に、パチンコ部門と雀球部門の両方を担当していたので、ついでに麻雀も覚えたんです。
当時は、阿佐田哲也さん小島武夫さん古川凱章さんなどの、麻雀新撰組の絶頂期で麻雀ブームでした。

サラリーマンのたしなみとして、お酒と麻雀は必須科目だったんです。
パチンコ部門の仕事は、後に銀玉親方として役立ち、雀球は現在の雀荘経営に役立っているかもしれません。

雀球というのは、パチンコ型の麻雀ゲームで、役ができると従業員に確認してもらいコインを手動で出してもらえます。
従業員は当然麻雀の知識が要ります。

リアルな麻雀と違うのは、マンズとピンズの2色しか使わないので三色という役が無い。
2色だとチンイツができやすくなるので、従業員はチンイツの形に強くなるんです。

遠くの台でチンイツをテンパイしているのを見つけると、どの牌でアガるとどういう役で払いだすのか、台に近づきながら確認します。
私は目が悪いので、牌の模様までは見えないので形で判断してました。

またツモとロンの区別がつかないので、トイトイ・三アンコは無しになり、すべて四アンコになります。

「えー、役マンなのにコインが少ないよー」

本物の麻雀と確率的に違うのは、1枚目の牌を引く確率も4枚目も同じ。
だから、四アンコが簡単なんです。

初期のコンピュータを使った麻雀ゲームには、同じプログラムの製品もありました。
現在は、オンラインゲームで麻雀を覚えるのが普通ですが、私もリアル麻雀とは別のゲームで覚えたのでした。

もちろん、職場の先輩に教わっことも多い。

雀球に守りなんてありませんからね。
先輩の教えは、おそらく小島武夫さんや古川凱章さんの受け売りだったと思います。

当時のレートは給与水準を考えると、かなり高かったです。
半チャン1回でだいたい、サラリーマンの日当くらいが動いていました。

経済が右肩上がりだったので、少々負けようが借金ができようが、みんな平気でした。
ちょうどサラ金が初登場した時期だったのも、遊ぶ金に困らない背景がありました。

私はセット仲間との麻雀だけでは飽き足らず、行きつけの雀荘の常連たちで組むバラ打ちに参加するようになりました。

フリー麻雀の原型です。

 

セットの勝ち組は
フリーに行こう

私がバラ打ちに行くようになったのは、メンツを探すのがめんどうだったから。

それと職場仲間との麻雀が給料日清算のツケ麻雀になってしまい、つまらなくなったのと、人間関係が悪くなりそうだったのもありました。
これは、平成の現在も同じようで、特に人の移動の多いこの時期には、私の店にもフリーデビューの学生やサラリーマンがたくさん来ます。

私の店では、女子スタッフがルール説明をしますが、新人だと内容を理解しないまま、棒読みしてたりします。
棒読みはまだ良いほうで、嶺上開花(リンシャンカイホウ)などの難読用語は読み飛ばしたりしてますわ。

軍資金は最低でも箱テン2つ分くらい無いと心配です。
そして1つ分に足りなくなったら、潔くラス半をかけるようにしましょう。

懐具合を気にしながらの麻雀は、勝負所で躊躇するなど、実力を発揮できません。
お店もお客さんも逃げないので、次の再挑戦が賢明です。

逆に好調な時は、勝ち逃げを考えずに徹底的に勝負したほうがいい。
もしかしたら、対戦相手と自分の間に実力の差があるのかもしれないし、相性がいいのかもしれません。

大勝ちのチャンスを生かさない手はありません。

ギャンブルは「大勝ち小負け」のパターンが大事で、その逆はダメですよ。
これはリーチにも通じると、私は思っています。

ダマで小刻みにアガるよりも、リーチで素点とチップをかっぱぎましょう。
特に私の店のようなウマが小さめの麻雀(ソフトピン)は、小さいトップでは次の箱テン分が賄えません。

「空振り覚悟、放銃上等、トップ2つ分ゲット」でリーチをお奨めします。
勝負以前の問題ですが、借金してまでやるのはダメです。

かつては借金で遊んでも何とかなる時代もありましたが、今は無理。

ゲーム代だけでも、長期的に見ると大きな負担となるのに、それに金利を上乗せしたら、よほどの実力が無い限りは転落してしまいます。
ゲーム代は回数に比例して直線グラフで増えるだけですが、金利は雪だるま式に増えるので要注意です。

 

自制の効いた大人の遊びをしましょう。
※古川凱章さんのご冥福をお祈りいたします。

 

(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2016年3月15日号)

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