【 #神域リーグ2023 第三節第9試合観戦記】ひとひらの桜が舞い落ちた ゼウスが誇る桜姫 桜凛月の奮闘【文 #後藤哲冶 】

「怖い、怖いよ!」

当たるかもしれない牌を切るのは、怖い。
けれどそれでも進まなければいけない理由がある。

「頼む! お願い!」

辿り着いた。メンタンピンのリーチ。
これが決まって、トップ目の松本から直撃さえ取れてしまえば、もう勝負はわからない。
トップだって見えてくる。

「……ッ!」

牌を持ってくる度。危険牌だと分かる度。
桜の今にも息切れそうな吐息が漏れる。

アガりたい。怖い。
同時に2つの感情を揺さぶられるこの一瞬。

間違いなく、桜は麻雀を打って。そして、楽しんでいた。

この局は残念ながら流局。
しかしテンパイまで押し切ったことで、桜の親番は続いている。

「勝つまで打つんだから……! ルイスちゃんのリベンジを果たすんだから……!」

今にも倒れそうになりながら、それでも桜は足を止めることはしない。
ゼウスのメンバーのため。愛する妹のため。

手牌は悪くない。イーシャンテンだ。
この手を決めて、いよいよトップまで――

春の終わりは突然に。

そしてあまりにも呆気なく訪れるのだった。

トップは、この日3連投で2度目のトップとなる白雪レイド。
あまりに強い。桜が最後に親被りした局もフリテンの5面張なら即リーチと決めているところに白雪の強さを感じることができた。
アキレスは白雪の大活躍で一気にチームスコアトップへ。

2着に松本。6000オールを東パツにアガっただけにトップを持ち帰りたかったが、白雪が強かった。
2着でも、ヘラクレスは今日をほぼプラスマイナスゼロでまとめている。

4着は歌衣メイカ。最後はウラを2枚乗せれば3着に上がるリーチを打ちながらも、裏は1枚まで。
見せ場は作りながらも悔しいラスとなった。

南2局での大連荘をしながらも、3着に終わった桜。
ゼウスの控室配信に戻ると。

「負けてないよ!」
「めっちゃ良かった!」

励ましの声を受けながら、桜は最後まで悔しがっていた。

今回、残念ながら桜はルイスの仇を討つ、ところまでは行かなかったものの。

その戦いぶりは、気持ちの強さは。きっと多くの神域ファンに届いたことだろう。

チームゼウスに、そして神域リーグに新たな風を吹き込んだ桜のプリンセス。

この神域の舞台で、もう一度桜吹雪を巻き起こす所を、見てみたい。

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