【 #神域リーグ2023 第4節第10試合観戦記】朝陽にいな、襲い来る不運にその身を焼かれても 折れぬ貴方は美しい【文 #後藤哲冶 】

こみ上げた涙は、
心にしまった
朝陽にいな
襲い来る不運に
その身を焼かれても
折れぬ貴方は美しい

神域リーグは中盤戦の第4節に突入。
去年の第1回大会に負けず劣らず、今年の神域リーグも素晴らしい盛り上がりを見せている。

麻雀と言うゲームは必ず勝者と敗者が存在する。
点棒を競うこの競技は、だいたいこの中盤戦に差し掛かると、徐々にチームポイントに開きが生まれ始めるものだが。

今年の神域リーグもその例に漏れず、チームポイントランキングに少なくない差ができ始めていた。
その中で、苦しい戦いを強いられているのが、チームグラディウス。

ここまでチーム全員トップが無い……どころか、2位すらない。
全てが3位と4位でポイントを失い続ける厳しい展開に見舞われていた。

チームとして再起を図るこの第4節。
トップバッターを任されたのは、朝陽にいな。

その中で、彼女の配信の枠タイトルは『できることを、全力で!』
苦しい状況はわかっている。それでも麻雀というゲームは、自分にできる最善を積み重ねることしかできない。
だからこそ、できることを、全力で。

チームを救うため。
彼女の戦いが始まる。

第10試合
東家 歌衣メイカ (チームアトラス)
南家 因幡はねる (チームヘラクレス)
西家 渋谷ハル  (チームアキレス)
北家 朝陽にいな (チームグラディウス)

東1局

朝陽の手に悪くない手牌が入っていた。
【9ピン】を引いてイーペーコーが完成。
朝陽の手が一度【3ピン】に伸びるが

ここは目一杯の【北】切り。
どこも逃せないのなら、安全牌候補の【北】を切るよりない。
朝陽の強い意志が見え隠れしている。

ドラの【5ピン】を引いてきて、【2マン】切り。
現状カン【8ソウ】が2枚切れで受けとして苦しい。
であるからこそ、【3ピン】【2ピン】がくっついた時に【1ピン】【4ピン】の良形ターツになるので残す。
その上で、カン【8ソウ】が先に入った時は47pのリーチが打てる構え。
バランスの取れた一打だ。

【4ピン】を引いてテンパイした朝陽。
【8ソウ】が残り2枚のままであればリーチの選択肢ももちろんあったが、直前で歌衣から【8ソウ】が打たれ、残り1枚になってしまったところだった。

なのでここはあまり時間を使わず、テンパイを外す。
流石に残り1枚ではリーチは打てない。
【9ソウ】から切るのも丁寧だ。これで【6ソウ】引きで【5ソウ】【8ソウ】のリーチが打てる他に――

この一見裏目の【8ソウ】引きも、フリテン【6ソウ】【9ソウ】でリーチを打つ選択肢を残すことができる。
【8ソウ】が4枚目ということもあり、【9ソウ】の場況は悪くない。

ということで、ここはリーチ。
素晴らしい手順だったと思う。ここまでたどり着けない打ち手だって少なくない。

が、宣言牌の【7マン】を親の歌衣にチーされ、その歌衣から【9ソウ】が2枚出てくる。
残り2枚の【9ソウ】は、歌衣の雀頭に使われていたのだ。
これで、残る【6ソウ】は、1枚だけ。朝陽の表情に焦りが混じる。

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