勝ちを意識した途端、手が震えだした 連盟の総大将・HIRO柴田のとてつもなく長いオーラス【Mトーナメント2023/7/10 予選2ndステージ E卓】担当記者:ZERO / 沖中祐也

なんとこのアガリ一撃で2着目に。
柴田はこの局さえ流すことができれば勝ち上がりとなる。

運命のオーラス。

3巡目に【發】をポンし、カン【5ソウ】待ちのテンパイを入れる。
さらに柴田にとって超絶有利なのが、上家の松ヶ瀬がアシストにきてくれる点である。

ここで勝ちを意識したのか、柴田の手が大きく震えだす。

モニター越しに伝わってくる。

柴田の震える手から
柴田から漏れる吐息から
柴田の紅潮する顔から

柴田の中で脈打つ鼓動が
そして柴田の勝ちたいという欲が。

松ヶ瀬が中張牌を並べ出す。
岡田と滝沢にとっては絶望的な状況である。
(私はこれを地獄のセレナーデと呼んでいる)

だが、【5ソウ】はなかなか顔を見せない。
そうこうしていると

【2ソウ】をツモってカン【3ソウ】にも受けられるようになった。
【2ソウ】をツモ切ってのカン【5ソウ】よりも、【6ソウ】を手出ししての【3ソウ】の方が打たれやすいだろう。

【1ソウ】【6ソウ】をポンしての【6ソウ】【9ソウ】も捨てがたいが、柴田は【6ソウ】を切ってカン【3ソウ】に受けた。
すぐに

【1ソウ】をツモって【2ソウ】【3ソウ】待ちに。
松ヶ瀬(上家)の捨て牌を見てほしい。これみよがしにアシストにきていることが分かる。
そして今待ちになった【2ソウ】は先に打たれてしまっている上

これまで心の底から待ち望んでいた【5ソウ】が打たれる。
なんという運命のいたずらだろうか。

手をこまねいているうちに

滝沢にテンパイが入る。

厳しいと思っていたら一撃で近づき、手にしたと思ったら離れていく。
麻雀はいつもそうだったよな。

滝沢が一瞬の隙を突く電光石火のアガリをものにし、眼前で勝ち上がりの切符をかっさらわれてしまったのだ。

いつの間にか柴田に感情移入していた私は、麻雀の無情さに打ちひしがれていた。

Mトーナメントは素晴らしい。
まだMリーガーに選ばれていない者…光の当たらない者たちの、熱い魂をぶつける様をみることができる。

柴田の欲を殺したダマテンと、欲が溢れ出てしまったオーラスに、本当に勝ちたかったんだという気持ちを垣間見たE卓だったのだ。

総合結果

1 松ヶ瀬隆弥 +65.4
2 滝沢和典  -0.4
3 HIRO柴田 -9.3
4 岡田紗佳  -55.7

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