勝ちを意識した途端、手が震えだした 連盟の総大将・HIRO柴田のとてつもなく長いオーラス【Mトーナメント2023/7/10 予選2ndステージ E卓】担当記者:ZERO / 沖中祐也

連盟の総大将…
特に連盟のプロたちがこういう表現を使っているのが散見された。

鳳凰位になった人がウチらの中で一番強い、と認める文化が根付いていることに加え(他の団体もこういう文化は少なからずあるのだが、連盟ほどではないと感じる)柴田の麻雀にひたむきなところが愛されているんだな、と思う。
私はHIRO柴田さんと一切の面識がないが、おそらく麻雀だけではなく、人柄の素晴らしさが認められているということが、周りの応援から伝わってくるのだ。

その応援に応え、徐々に持ち点を回復させていった南3局だった。

柴田はここから【9ピン】を切った。
【9ピン】?!
理牌してみよう。

柴田としてはトップにならずとも6600点差の岡田をかわせば勝ち上がりになる。
(正確言うと20.7ptの差があるので700点下でも1着順差なら勝ち上がり)

だからそこまで無理して大きな手を作る必要はない。
風牌の【北】を残すのは分かるが、【9マン】【8ソウ】から切るのが普通だ。

だが【9マン】イッツー【8ソウ】は789の三色の種。
ましてや1枚切られたばかりの【9ピン】の利用価値は低い。

そう柴田は判断したのだろう。

すぐにドラの【1マン】が重なって打【8ソウ】
ホンイツが色濃くなったと思いきや…

【2ピン】をツモってきてまた考え込む。
ホンイツ一直線ならピンズは全部いらないが、本当にそれでいいのだろうか。

柴田は【9マン】を切った。
ギリギリまでホンイツを追いつつ、通常のリーチ手順も残す選択。

日吉「見てください、柴田のこの表情。もう完全にカメラを忘れています」

柴田がここ一番で集中力を高めていく。
このピンズ残しがいきて

ドラ暗刻のイーシャンテンになるも、ツモ切った【8ソウ】

またしても滝沢の7700に捕まる。
まだ未来のあった東場の時と違い、絶望の淵へと追いやられる痛恨の一撃。

うらめしそうに滝沢の手牌をみつめる柴田。
だが、戦いはまだ終わっていない。

流局をはさんだ南3局2本場

【北】を1鳴きする柴田。
絶望的な点差に見えるかもしれないが、ここで3900でも加点しておけば積み棒と供託が貯まっているのでオーラスの岡田をまくる条件がかなり軽くなる。

リーチして高打点にしたいのは山々だが、仕掛けた後にもドラや赤をツモっての打点上昇がある。

この【北】の加カンだってそうだ。
当たり前の話だが、2鳴きしたら加カンはありえない。

ドラもポンすることができて、テンパイを入れるも…

2軒リーチが入っている。
【5マン】は2人に無筋で、【2ソウ】【3ソウ】は通っている。

いつの時代も麻雀が簡単なことなんてなかった。
こういう時、柴田は過去の体験を反芻するという。

回るか、勝負か、これまでどちらの道を選んだほうが勝利が多かったか。
過去の膨大な実体験を振り返る柴田が、この日一番の長考の末に繰り出した決断は

【5マン】勝負だった。
これは決して欲ではない、経験則に基づいた判断だ。放銃に回ろうが後悔はない。

その【5マン】に声はかからない。次の瞬間

力強く【4ソウ】を引き寄せる柴田の姿があった。
2000/4000は2100/4100、さらにリーチ棒4本をかっさらうアガリ。
こうして点棒状況は

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