確かな情熱と、冷静さを兼ね備えて 松本吉弘が進むは 連覇への道【Mリーグ2023-24観戦記 9/21】担当記者 #後藤哲冶

迷いなくカン【3ソウ】でのリーチ。
三色にならなかったら、カン【3ソウ】でリーチに行くことを決めていたのだろう。
実際、選べる待ちの中ではこれが一番山に残っていた。

そしてそのカン【3ソウ】を一発ツモ!
大きすぎる4000オールで、園田が一気に松本に迫ることに成功。

しかし松本も譲らない。
南2局に園田から5200を直撃し、もう一度点差を突き放す。
これで松本のトップ安泰かと思われたが。

南3局の親番で、滝沢がやってきた。
4000、オール、9600とアガって一気にトップ目へ。
特に2着目松本からの9600直撃は大きい。

南3局2本場へ。

松本がダブ【南】をポンして発進。
3着目園田との点差が600点に縮まった。親番があるとはいえ、ここで1つアガリが欲しい。
ダブ【南】に、ドラの【5ピン】が使えれば3900点からだ。

そのタイミングで、園田に超ド級の手牌が入っていた。
ドラドラ赤赤のイーシャンテン。今にも園田からリーチがかかろうとしている。

カン【7マン】をチーして前進。
守備は一旦考えない。ここは全力でアガリを目指す。

園田も【2ソウ】を引き入れてイーシャンテンが広くなった。
ここは【5マン】を切ってドラの【5ピン】を絶対に使える形に。

数巡経った後、園田がなんと3枚目のドラの【5ピン】を引き入れてテンパイ……!
【4ソウ】が高い音を立てて園田の河へ横に曲がった。
【5ピン】【8ピン】【2ソウ】待ち。ツモれば倍満からの超ド級リーチ。

状況は加速する。松本も【4ソウ】を引き入れてテンパイ。
待ちは、園田も欲しいドラのカン【5ピン】
園田の待ちは【5ピン】【8ピン】【2ソウ】だが、この時既に、【8ピン】【2ソウ】も山に無い。
残るは、たった1枚のドラの【5ピン】だけ。

ツモる手に力が入る。
この対局の明暗を分ける大勝負。園田の手はツモればトップすら見えてくる。

危険牌の【3ソウ】を持ってきて……松本の手が止まる。
【4ソウ】が3枚見えていてワンチャンス。ツモる手には力が入りつつも、その表情はとても冷静に見える。
松本の中には今、間違いなく情熱と冷静が同時に存在していた。

そうして導き出した答えは、【3ソウ】も押すという選択肢。
他家に流れない。運命の【5ピン】は、山に残ったまま。

残りツモ番は、お互い1回。実況日吉が絶叫する。
誰かが言った。決着は、つく――

海の底に眠っていた【5ピン】を力強く卓に置いたのは、松本だった。
ダブ【南】ハイテイ、ドラの2000、4000。

園田が静かに見つめる。
自分の物のはずだった、【5ピン】――

南4局

これで、松本はトップすら見える位置になった。
このオーラス親番の結果次第では、開幕からの個人2連勝も――

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \ほぼ毎日4コマ最新⑤巻 好評発売中/