恐ろしく速い裏ドラ確認、
俺でなきゃ見逃しちゃうね
文・越野智紀【火曜担当ライター】2023年9月26日
第2回戦
東家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)
南家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
西家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:菅原千瑛(BEAST Japanext)
シーズン序盤は新しく加入した選手の自己紹介の時期になります。
まずは菅原選手の1局から。
清純派黒魔術師という、意味を理解するのに少し時間がかかりそうな呼び名を持つ菅原選手が
を仕掛けて切り。
解説からも「戦略的なだ」と言われていましたが、との切り順を逆にすることでへの警戒度を下げる作戦に出ました。
ここら辺が黒魔術と呼ばれる部分で
自ら悪い事を企みながらも、困り顔が出ているあたりが清純派の部分です。
もしかしたら清純派の部分の考察は間違っているかもしれませんが気にせず進めます。
終盤、手牌にが余っていた親の松本選手が形式テンパイを目指して仕掛け始めます。
これは注文通り黒魔術の罠に囚われてしまうかもと見ていましたが
のトイツ落としで放銃を回避する松本選手。
切り順は関係なく形式テンパイでを切ることが割りに合わないと思っただけなのかもしれませんが、菅原選手が・と切っていたシーンまで遡ってみると少し怪しい雰囲気もありました。
菅原選手の手にが存在せずとが孤立していたら、を先に切っていないとおかしいのでは? という問題です。
とは両方場に1枚切れ。
を切っている太選手よりを切っている寿人選手の捨て牌のほうが字牌が危険に見え、後々重ねられ鳴かれてダメージが大きいのもダブの可能性があるのほうです。
さらにから先に切ったほうがを警戒されるので、を持っていない人には好都合なはず。
→の切り順から、そこに作為的な何かがあると
ヒットマン刑事の捜査網に掛かってしまったのかもしれません。
熱さを全面に出していく松本選手ですが、その心はいつも冷静です。
今回は不発に終わった菅原選手の黒魔術でしたが、この手の罠を張るタイプだという宣伝になったことはプラス材料。
宣伝の効果で対戦相手の読みの範囲を少し拡げることができれば、次回の対戦ではそれが有利に働きます。
続いては寿人選手の1局。
今年は個人三冠奪取を公言してシーズンに望むも、開幕直後に体調を崩して例年よりも遅れての登場となった魔王。
Mリーガー最強の一角である寿人選手の麻雀哲学はシンプルで、自分のほうが強いから遅く打っていたらもったいない。早く打って量をこなして沢山勝つ。質と量を掛け合わせて最大の成果を出していく精力的な打ち手です。
昔は相手が手を出す暇なくパンチを出し続ける「攻めダルマ」と評されたスタイルで圧倒していましたが、ここ数年はその早すぎる思考能力を守備にも割き始めたことで完璧で究極の麻雀マシーンへと近づいていました。
松本選手のリーチを受けてイーシャンテンの寿人選手。
シンプルにを打つのが従来の攻めダルマスタイルですが、進化した魔王は菅原選手の押しを見て
切り。
は全方向に危険なのでカンで固定して、二番手がきたときのために危険度が高いを先に処理しました。
1巡して状況に変化が生じ、菅原選手が現物のを手出しして太選手がをツモ切りと攻守交替の様相。
今度は太選手の現物を残して先にから切る繊細ダルマでしたが
残したが菅原選手に最悪のタイミングで捕まってしまい叫びたくなるような大裏目。
普通の人なら精神的にダメージを負いそうな結果となってしまいましたが、そこは鍛えられた麻雀マシーン。
痛さのカケラも見せず、点数支払いモードに自動で切り替わると