千両道化のハギー苦難の大航海【Mリーグ2023-24観戦記 10/13】担当記者 坪川義昭

千両道化のハギー苦難の大航海

文・坪川義昭【金曜担当ライター】2023年10月13日

第2回戦

東家:猿川真寿(BEASTJapanext)
南家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:萩原聖人(TEAM雷電)
北家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)

『……なにも!!! ながった…!!!』
そう語るのはTEAM雷電萩原聖人である。

今週も先週も何かと選手の一打が燃え上がる昨今だが、Mリーグ発足した頃その人気も相まって、とにかく一打が話題となることが多かった萩原聖人は正に『千両道化のハギー』だったのではないだろうか。

実際に毎年のトータルポイントはマイナスを叩いているのだが、とにかく応援のしがいがある選手だ。

人生を麻雀だけに費やしてきたプロとは違い、俳優としての一面もある萩原は表情や仕草でも画面の向こうに自分の感情を伝えてくれる。

どんなに負けたとしても『フンドシ締めて勝負を黙って見届けろ!!!』そんな気持ちが伝わり、萩原が登板の日はなんだか楽しみなのだ。

かくいう著者も萩原の登板を待ち侘びているファンの一人である。

今日は仕事終わりに萩原の登板を聞き急いで食事を済ませた。
正座しながら画面を眺めているとKONAMI麻雀格闘倶楽部高宮まり入場。
卓に着く瞬間映し出されるスラッと伸びた美脚が目に止まる。

素晴らしいという言葉しか出てこない。

2秒後にTEAM雷電萩原聖人入場。
お、俺はハギーを応援しようと思ってチャンネルを付けたはずッ…
萩原と同じポーズをテレビの前で取り精神集中に努める。

東1局


ダントツで好配牌を手にした萩原の一人旅になると思ったのだが

 

アッサリと魚谷が追いつき、追い抜き、アガリまで拾われてしまう。

東2局


連続でチャンスが巡ってくる。今日はきっと萩原劇場が観られると思ったのも束の間。

またもや魚谷が急所を仕掛け2000-4000のツモアガリ。

連続でチャンス手を逃した萩原の表情が曇り始める。

東3局


親番の萩原に分岐点が訪れる。
シンプルに手を進めるならば【8ソウ】切り一択なのだが、メンツ手として見ると少し周りとの速度感的に劣っているように感じているのだろう。

下家の魚谷の安全牌がないので【8ソウ】を残して4枚切れの【5ピン】【8ピン】ターツに手をかけた。実際魚谷はイーシャンテンで、すぐにリーチが入る。

その後、粘ってはみたもの【5ソウ】のを引いてしまっては手仕舞いせざるを得ない。

三度目のチャンスもモノに出来ずにジリ貧が続いていく。

ここは我慢我慢。
すべての感情が伝わってくる表情だ。

麻雀を嗜む読者ならばわかると思うのだが、こんなにも連続してチャンス手が入ることはほとんど麻雀において無いと言っても過言ではない。

著者が高校生の頃ある番組で萩原が麻雀プロに対して言った言葉がある。
『麻雀のプロならば運要素がある麻雀という競技でアマチュアと同じ運量ではいけない。』

聞いた時どういう意味を持った言葉なのかがわからなかった。
それは自分が当時デジタルブームでそういう分野を否定するのがカッコ良いと思っていた尖った小僧だったからで、今は少しだけわかる。

視聴者に観て頂く麻雀は内容でカッコ良くないと将来は明るくないというのが一点。
もう一つは運が巡ってきた時にそれをしっかりキャッチ出来るように手を作らないとツイているのにツイていない人になってしまう。

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