瑞原明奈が放った眩い光【Mリーグ2023-24観戦記 1/26】担当記者 小林正和

その時の場況がこちら。

ここで勘違いしてはならないのが、ただ単に先切りしているのではない点である。

松ヶ瀬の第１打と内川の３打目のがポイント。
は相手にもたれている可能性高く、の暗刻の期待が薄くなったのも打牌の理由の一つだろう。

実際には山には残っていなかった。

そんなカラクリを受けた瑞原。

多井の４巡目からの動きを巻き戻しするかのようにじっと目を凝らす。

（そんな罠は何度も見てきているわ…）

と聞こえてきそうな表情で

をツモ切る。

（見破られたか…）

と聞こえてきそうな表情を見せる多井。

そして、四者の意地や信念がぶつかり合う至極の１局のフィナーレを飾ったのは瑞原の一声であった。

切りのご褒美のようなツモテンパイ。

不安要素は並びシャンポンの待ちであり、ましてやは1枚切れという難しい選択を強いられている。

対局後インタビューでは

瑞原
「道中は待ちは良さそうかなと手組みをしていたんですが、二人に手出しされて一気に自信はなくなりましたね。でも多井さんがオリてくれるパターンもあるかなと。ギャンブル的なリーチでした。」

と語ったように

強気の

“オールイン”リーチ

宣言。

今日でレギュラーシーズンも2/3が終了し、いよいよ終盤戦に突入する。
苦しいチーム事情を抱える多井もここは引けない。

苦悶の表情を浮かべながら通ってない牌を切り続ける。

そして、遂に多井の手が止まった。

はドラそばで二人に危ない。
何なら内川の入り目でもある。

多井はゆっくり場を見渡し、深呼吸すると
を放った。

瑞原の心理戦が勝った瞬間でもあった。

そして…

無情にも内川から多井のアガリ牌がツモ切られるのであった。

瑞原の放った渾身のリーチ。

それは眩い光をもたらし、か細いトップの道を引き寄せる道標へと変わる。

そして、親連荘に成功すると、次局に4,000は4,200オールを決め個人３連勝・個人スコア２位へと浮上を決めたのであった。

ブラフとは無縁な程の煌めく敬礼の奥には狼が潜んでいるのだろうか。

いや違う。

一つ一つ計算された積み重ねと強い気持ち、そしてチーム・応援してくれるサポーターの期待応えたい使命感の融合に他ならない。