猿川がピンズの染め手ではあるものの、が3枚見えていてワンチャンスのを勝負する。
このが猿川のロン牌だった。
猿川の待ちは。
・ホンイツ3,900点の放銃となる。
冒頭に書いた、滝沢が言っていた恥ずかしい放銃とはこののことだった。
一見普通の打牌のように見えるが、
滝沢曰く、猿川の仕掛けは良く見れば殆ど待ちしかないことが分かるという。
カンのチーが入った時の滝沢視点での河がこちら。
ポイントは猿川が8巡目にツモ切っただ。
猿川はをチーする時に、カンでチーして打とした。
つまりを持っていたことになるが、そうなるとその形にを引いてそのままツモ切ったことになる。
のリャンメン待ちではなくのリャンカンを選ぶには当然何かしらの理由がある。
その理由は既にテンパイしているところからの待ち換えだった。
猿川はをツモ切った時点で既にカンでのテンパイを入れていた。
と中のくっつきテンパイからを引きカンのテンパイとなっていた。その後を引くが、テンパイなので当然ツモ切り。
そして上家の仲林からが切られ、でチーしてカンチャン待ちからリャンメン待ちに変化させたのだった。
からののツモ切りが明らかにおかしいため、このは1点で読めてもおかしくなかったという。
ちなみに、カンからの待ち換えは下記のような形もあり得る。
この形からカンをチーするとが残るので待ちはになり、は当たらない。
しかし、この形の可能性は低いと同卓していた仲林の検討配信にて説明されていた。
URL:https://www.youtube.com/watch?v=5h83wGXwKw8
仮にと持っているところにを引いてきたら、ツモ切らずと入れ替えてに変える方が普通だからだ。
にしておくことで、その後にを引いた場合など好形変化が多く残っている。
そもそも、を引いた時にが既に2枚切れているので、からはカン待ちにせずを切って・のシャンポン待ちに取る人の方が多いだろう。
そうなるとやっぱりからの待ち換えチーで、猿川の待ちはが本線に見える。
滝沢が対局中にが本線だと考えていたのか、考えていた上で勝負したのかは分からないが、対局後のインタビューを見るに本人は後悔しているようだった。
この半荘、トップを取ったのは仲林で滝沢は2着だった。
仲林と滝沢は1万点以上離れていたため、東1局1本場の放銃(3,900点)はその後の試合展開に大きく影響したかと言われればそうではない。
そうではないのにこの局をピックアップしたのは理由があり、対局舞台裏インタビューとSNS上での滝沢と解説だった村上プロのやり取りがとても良く、ぜひ見ていただきたかったからだ。
滝沢「100%当たると思ったのなら打ってはダメなので、あれは超恥ずかしかったです」
村上「でもそう言ってくれてよかった。僕が解説でかなりっぽいって言っちゃったから(その後放銃になって)申し訳なかったんだよね」
滝沢「それはフォローしない方がいいですよ!」
村上「じゃあ本人も反省ということで」
滝沢「はい。それ1つで後の内容が良かろうが悪かろうが台無しです」
ミスを潔く認める滝沢と、それをフォローしようとしていた村上。
そして対局後、村上から滝沢宛にLINEが送られたようで、内容がXに投稿されていた。
村上さんが優しいことと、打9pについて本当に反省していることをお伝えしたいです。あまり擁護しすぎると解説者がプレーヤーとして死んでしまうので、ダメなものはダメと言うような空気になるといいと思いつつ村上さんのLINEを勝手に載せます
【2月5日 第2試合】 対局の裏側 https://t.co/NSNUWW3NHX pic.twitter.com/ZpL3KZEUGa— 滝沢 和典 (@takizawajpml) February 5, 2024
滝沢に対してフォローしつつ、麻雀の内容に触れる村上。
LINEは放送終了後すぐに送られている。
LINEの内容から村上の人柄が伝わってくるし、多くの人が見ている場でミスをミスだと認めることができる滝沢だからこそ、男女問わず多くのファンがいることも頷ける。
2人が人格者であり、当たり前かもしれないが麻雀が本当に好きなんだと伝わってくるやり取りだった。
麻雀に対して真摯に向き合い、ダメなことは潔く認める。
そして仲間を思いやる心を持つ__
まさに麻雀プロの鑑と言えるだろう。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke